衛生ゴアグラインド

人形を愛で、本を読み、肉を食べる

それは快感で癖になる『ファシズムの教室』

 楽しみにしていた本がとてもよかったんですよ。

ファシズムの教室: なぜ集団は暴走するのか
 
 

読了。

ナチズムについてのわかりやすい解説から始まり、ネットで話題になったファシズム体験授業について書いた本。

渋谷でのハロウィンやサッカーの試合後…例を挙げるまでもなく人は集団行動で熱狂しやすいが、それが権威と結びつくとファシズムになるというのが良くわかる一冊。

現代ビジネスに出た記事を読んで、著者の本を読んだりしたけどファシズム体験授業については本になっていなかった。

そのため、この本はとても楽しみにしていたのだけど、前提のナチズムと当時の民衆にについて、授業について、その後、舞台裏など盛り沢山で大満足だった。

 

意外と健康に気を使っていたのは他の本で読んだけど、特権階級にしか得られなった喜びを労働者に提供することで平等な社会を実現しようとしていたり、庶民の味方で貧しい労働者の気持ちを理解して代弁してくれると思われていたということも最初に綴られる。

(真偽はともかく)不当利得者に対する「持たざる者」たちの義憤、そしてそれを隠れ蓑した欲望の追求もまた狼藉行為を過激化させた原因ではあるのだけど、それを安全に体験できるものとして考えられたのが「ファシズム体験授業」というわけ。

最初は抵抗があるものの、染まっていく様子、そして受講生徒たちの感想を読むと、ファシズムというのは染まりやすいものであり、現在の社会にもその心当たりはあるようになっている(現に今をときめく給付金の件も特定の職業はダメだなんだと文句を云う人たちは残念ながら観測範囲にもいた)。

…って真面目な事を書きましたが、肝心のファシズム体験授業はリア充糾弾というもので、躊躇している生徒に著者が「皆さん、今後の人生においてリア充に対して『リア充爆発しろ』という機会は二度とないですよ!」と煽るのには思わず吹き出してしまいました。

 

余談

私は球体関節人形が好きで、ハンス・ベルメールが人形を作った時代だからということで、ナチス政権下のドイツについての本を読むことがあるのだけど、退廃芸術についてわかりやすく解説があったのが嬉しかった。

美術系の本は相性がいい文章がまだ見つけられないため説明されても「わからないです、サーセン」ってなるのよね。

それはともかく、その退廃芸術を集めた退廃芸術展に関しては「庶民には理解できない前衛芸術への憎悪、そのような「出来損ない」の作品に多額の税金を支出した美術館や公務員への反感を煽る意図があったことは明らかである」…とのこと。

現代美術に対して「これは一体…」となるものは多々あるけど、その気持ちも利用されてしまうんだな…。