今月も7冊読めました。収穫が多かったです。
今月読んだ本で面白かった本
『タコの心身問題』が読みたいけど、翻訳された言葉を読む自信がなかったので、翻訳を挟まないで書かれたタコの本『タコの知性』から読みました。帯がヒグチユウコさんなのがよいですね!(本は見た目にもこだわりたい)。
タコは賢く、繋がりすぎないようにしているけれども、社会性もあるかもしれない…という以外かもしれない一面が書かれています。
発見があるというのが本の楽しさなら、この本たちは発見があるので、読書の楽しみに溢れていました。
戦争…厳密には戦後、犠牲にされ、存在を消された女性たちの聞き取り。戦争における性犯罪は民族差はなく、戦争の生贄にした若い人たちに生きていては困るというのには性差はないと感じるなど。
たまたまこの本の後に『あれよ星屑』を読んだのですが、性産業で働き、別ルートで売られる話があったのでよくある話だったんでしょうね。
戦争の生贄に生きていられては困るエピソードの男性編はこちら
生きて返ってくると文句を云われたり、収容施設でネチネチいじめられるよ!
ポップカルチャーと文学と生活とユーモアで出来た堀越英美さんの文章がとても好き。
『女の子は〜』は女児向けの人形の話が掘り出し物。
リカちゃん人形よりバービーの方が職業が多い、その一方で、新たに女子たちが希望を持てる人形が企画されている。
Yuna Doll & Kitty
こちらはアジア系アメリカ人という設定のお人形。黒髪と白すぎない肌でアジア系の特徴を抑えつつも癖が少なくて愛されそうな見た目。
アカデミー賞から発端になったアジア系への差別問題が話題になった後のタイミングで知ったので、生まれ持ったものを肯定してくれる人形を作り出すことで、育ちゆく世代が明るく希望が持てる未来に繋ぐ人がいるっているのが胸が熱くなります。このお人形はまだ商品化はされていないようだけど、世界を動かすのに積み重ねていく人はいるから、いつか良い結果に繋がって欲しい。
そしてこの本でのさらなる収穫はアサーティブネス。相手の立場を尊重した上で対等に自分の要望や意見を伝えるコミュニケーションの方法論とのことだけど、すごく良い方法を知った気持ちになった(作品として取り上げられているのは『アナと雪の女王』『妖怪ウォッチ』の2作品)。
『親切で世界を救えるか』はポップカルチャーと女子として生きるこの世界と著者のユーモアに溢れて楽しい。鬼滅の刃の話も出てくるよ。首とか飛ぶけど、炭治郎マジ良いコたし、ケアできるヒロインの胡蝶しのぶも人気で、ケアができるって格好いい、素敵、憧れる!なのがいい流れだよね。
個人的に好きなのは平家物語の話(アニメの話も出てきます)。耳なし芳一が平家物語を怨霊に聞かせ続けていたら、それはナラティブセラピーになり、怨霊たちも芳一たん尊い…になって耳じゃなくてサイン入りのチェキを貰って帰っていったんじゃないかな?という話は笑っちゃった。
私は子供はいないけど、この世界を次に残すのには優しく生きやすくなってほしいし、その為には世界を滅ぼすよりは世界を救う方がいいよね…とは思えるので、ケアする側には回りたい。
「でも、助けてくれなかったでしょ?」と思うことだってあるけど、ケアされるのは難しくてもケアすることはできるからね。
あとがきの「こねこのぴっちの家出」はこねこのぴっちと著者のお嬢様とのエピソードが楽しく、そしてぴっちがいなくなってしまったことをSNSで発信した時に優しく世界が動く様子に涙してしまったので、現時点で上期読んだ本の暫定No.1です。
最後の言葉がとてもいい
こねこも、次女も、私も、そして誰もが、自分よりほかのものにならなくてもいい、と思える世界になりますように
映画『RRR』『バーフバリ』がよかったのは、インド人がインド人のままで格好いいからというのもあったから、きっと自分自身でいて幸せになれたらいいな。
次回予告?
アジア系で女性という親近感もあって、そして不遇な立場になりがちな属性の著者による本。
翻訳が堀越英美さんなので、期待している…!