衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

服飾と、戦争より前の事~7月に読んだ本の話

 

7月22日のスペースで話したことのブログ版です。

元々レジュメとして文を書く→それを元に話す→レジュメを手直しという工程を経た文章です。

 

・今月に入って読んだ本は14冊

生活系の本が多い。記録に残していないけど、写真が多い生活系の本(一人暮らしでおしゃれで…みたいな本)も入れたら20冊以上目を通しているはず。

群ようこの本を2冊読んでいます。着物や生活の話が多いので、手に取りがちなんです。

 

・14冊中面白かった本

14冊中5冊です。14冊中5冊は35.7%…体感として面白かった本って10冊読んで2,3冊あればいい方だと思っていますが、なかなか好成績。スカウター上がっている感じがしますが、先にお話しした通りカウントしてない本もあるので結局2,3割で落ち着いちゃうかな。

漫画家が語る映画の話。漫画家のセレクトも映画のセレクトも偏っているけど、偏って偏って守備範囲内だから楽しい…という具合。
漫画をあまり読まなくなった私でも9人中5人は作品を読んだことがあった。

沙村広明三家本礼が載っていたので、読んだのだけど、沙村広明がエログロなんてクソ!と云っており、好きな人の好きなところが本人に全否定されているけど、そういうことってありますよね…。それでも好きですけど。

三家本礼は映画の趣味が合うのと、作家としての姿勢が垣間見えるインタビューでよかった。何も作っていない私だけど、三家本礼が否定する原理主義になりがちなので気を付けたさ。

 

相手を傷つける、不利な立場にするなどの言葉が何故良くないか、そして切り返し方について10代を中心にわかりやすく解説した本。

過去の失敗に「あれは良くなかった…」と反省したり、これは過去に云われた言葉…と振り返ったり。

直近で心当たりがある言葉があり、身につまされる。
上手く言い返せなかったのだと、苦しくなる。

 

明治~戦前昭和の貧困層の話。

貧民窟潜入レポ、明治以降の遊郭、私娼、女工の劣悪な環境…と読んでいて暗澹たる気持ちになる。そして、女子の人生の選択肢の少なさなんか特に。

初等教育を受けていない女性…細民街の主婦の5分の1は縫い物が出来ないとあり、だから服を重ねて着るという話があった。家庭科の最低限の技術って本当に大事なんだな…。

「スラム化は公営建築からはじまる」という言葉に昔の新明解がアパートのことをスラム化しないように作られた建物と書いたのは…そういうこと?となるなどした。
そして貧しさを放置した罪というのは一向に問うところがないという言葉に頷くし、最暗黒とまで書かれている貧困層のことをみると、やっぱり良かった昔なんて無いんだよ!と思いますね。

 

着物エッセイ。

著者がいずれ自分の物になると言い聞かせて母の着物に金を出す&母が外商で買った着物の支払いは著者…という毒な話や着物好きの方との対談もあり。

20年前の話だけど、KIMONO姫が靴下を足袋にリメイクするなどの企画に著者が笑ったと書いた話があった。リメイクって、KIMONO姫はzipperとかCUTiEの着物版だよなぁ…としみじみした。着物がはんなりか地味かみたいな中で、KIMONO姫ってインパクトありましたよ。

 

英国の男性服飾史。

ブランメルから始まり、パンクについては触れられずに終わるので、自分のイギリス観及び男性服飾史への造詣の浅さを相対的に知るなど。

「昔、そんな事を習った気がする」…というレベルの私では図版は少なめはキツかった。去年辺りに生田耕作『ダンディズム』を読んでおいたのが、生きました。

 

個人的な思い出ですが…終盤で男性ファッションは男性が自己の女性性を認めることで始まったという話に交際していた男性に「女の子は靴の種類が多くていいね」と云われたことを思い出しました。

 

・リクエスト:明治・大正・昭和の女子の服飾話

マシュマロでリクエストください!とねだったら本当にリクエストを送っていただきまして…まことにありがとうございます。恐縮です。

結構Twitterで呟いたことがありますが、戦前ぐらいの女学生のファッションについて調べていたので、頑張って思い出してお話していきます。

洋服か和服かだと…圧倒的に和服なんですね。

根拠は?みたいに言われると有名な定点観測の話があるんですけど、名前が出てこない…それだと女性の洋装が2%ぐらいだったかな(※今和次郎モデルノロヂオ」とスペース中にご指摘いただきました)。大学時代にこれを資料にしたら「またこれか!」というリアクションを先生に頂きました。サーセン

モダンガールは洋装ですけど、あれは結構特権階級というか…斎藤美奈子『モダンガール論』で「戦前に生まれてもモダンガールになれませんから!」って全否定なんですよねぇ。

そういう話じゃないと思うので、もっと私が過去に触れていた女学生の方に戻しますね。

少女雑誌『少女の友』には読者向けのイベントがあって、その様子が写真で掲載されていることがありまして…それを見ると結構洋装のお嬢さんがいるんですよ。中には制服かな?ってお嬢さんもいますけど。

ちなみにこれを根拠に昭和初期の女子、結構洋服着ているじゃ~んと思ったら、先生に「特別な場だし、写真に映るからみんなおしゃれするでしょ。一張羅だったんじゃないの?」と突っ込まれました。

…今以上に学生時代の私がアホだった話みたいになっていますけど…大学時代はもっといっぱい本を読んで目の付け所を養っておきたかったなぁ…って思いますね。

私の祖母は女学校ではなくて、師範学校を出ているんですけど、その時の卒業写真が同級生と二人一組で制服で少女の友のグラビア写真かよ!ってほど気取っていて、本人がやったのか、写真館の指示なのかよくわからないんですけど…セルフィーなんてない時代ですからね。写真を取られるって云うのも特別な出来事ですよね。

 

話が前後するんですけど、『少女の友』って中原淳一が女学生服装帖って連載を持っていてパターンを載せている回もありまして…ずいぶん前にネットで実際に作った人を見かけましたし、リアルタイム…昭和初期ですね、で自分で洋服作った、お母さんに作ってもらったの話もあって、洋服は作るものだった時代だったんですね。

戦前だと鄭 鴻生『台湾少女、洋裁に出会う』って本で台湾人女性が「主婦之友」「夫人娯楽部」で服作りを学んで、日本の洋裁学校に留学して、台湾で洋裁学校を開いて…っていう話もありますし、洋服は作る、作ってもらうものだったようです。

 

主に昭和の話になっちゃいましたね…その辺が一番個人的に熱かったということでお願いします。

服飾だったので洋装と和装の話に持っていきたかったのもありますね…大正ぐらいまではやっぱり着物中心、明治だと中にブラウス着るというのもありましたがうまくまとめられませんでした。

 

・これから読む本、今読んでいる本

私にとって心地よい文章を書く作家…つまり一番好きな作家による映画の本。

これを読み終えて次回は春日武彦三昧とします。

途中まで読んでいるけど、すでに最高です。

劇薬本として挙げられていた「菜人記」目当てで読んでいる最中です。

既に間違った追憶のマーメイド(イエモンの曲)みたいな話や、フェティシズムあふれる話が出てきて期待しかない。

 タイトルで手に取った一冊。

まだどんな本かは知りませんが(読んでいないからね!)、暮らし×ファシズム、そしてガスマスク女学生の表紙…そそります。

 

…今回はこんな感じでした。

これだけ喋って30分ほどでしたので、今後もこの形式で話せたらいいな。

そしてブログの更新ももう少し増やしたいです。