過去の本と親子や兄弟に当たる本を読みました。
読了。
生きて帰ってきた特攻兵を待ち受けていたのは上官の心ない言葉と振武寮での軟禁生活!飯喰ってても詰られる様子がとても辛い…。
軟禁生活の話が大きなところではあるけれども、当然、軟禁に至るまでの話も多く、同じような学歴(ほぼ皆大学を出ている)の仲間たちとの交流や特技を活かす場面など、戦争の世でなければ…と思わずにはいられない和気藹々、希望があったはずだったのに…という部分多し。
飛行って技術だから、訓練中に死者が出ることがあって、同級生がお亡くなりになってしまった…というエピソードもあり、飛び散ったご遺体を素手で集めたり(手袋は飛行のためだから使っちゃダメって上官に云われる)、仏教系の学校を出た同級生がお経を上げてくれたりという話が妙にしんみりきた。
飛び散った臓器の話しから、臓器の中で丈夫なのは腸で、叩きつけられてもそのままの形で残っていたという話もしてくれて、「ホラー映画などで腸でアレコレするのは案外理に適っているのだな…」と変な方向の事も考えていました。
軟禁生活でネチネチ詰ってきた上官を呼び出して囲んで殴ろうかと戦後に呼び出して囲むもあんな鬼みたいな奴がこんなに弱って…とまるで無限の住人における槇絵と父みたいな話もあった。復讐って案外できないのはそんなこともあるんだと思います、たぶん。
この本は『不死身の特攻兵』から読んだのだけど、文庫本だったので、解説が鴻上さんだった。親子や兄弟みたいな本なのでこの人選はさすがです。
今回の本も鴻上さんの本も特攻の構図は鴻上さんがよくいう「世間と空気」みたいな話につながる部分は多く、「強要はしていないが、そうせざるを得ない」に追い込まれます。
罰せられない上官も多く、上司がダメなばっかりに現場の人間ばかりが損をする、そういう構図はなくしていきたいですね。
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