衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

反抗して生きて帰って『不死身の特攻兵』

生きていると気になる本が増えますね。

読了。

9回出撃して9回生きて帰ってきた特攻兵:佐々木友次氏のこと。

存命中のインタビューの前に戦中の話になるので、テレビでよくある「この後、御本人のご登場です!」形式でわかりやすいです。

体当たりよりも何度でも攻撃する方が攻撃として効果はあるのだけど、上のものはわからんのです…。佐々木氏は戻ってくる度に「次は死んでこい」って云われてて、それ攻撃よりも若い命散らすのが目的になっているじゃん…となります。

後半は特攻について、そして命令する側、される側について分けて考える話が出てきます。

「特攻はムダ死だったのか?」という問いをたてることそのものが、亡くなった人への冒涜だと思っています。死は厳粛なものであり、ムダかムダでないかという「効率性」で考えるものではないと考えるからです。

 総ての死は痛ましいものであり、私達が忘れてはならないものだと思います。特攻隊で死んでいった人達を、日本人として忘れず、深く記憶して、冥福を祈り続けるべきだと思っています。

 この言葉に続くのは「けれども命令した側の問題点を追及するのは別」と続きます。要は上司は責任とれよ!考えろよ!という話であって、部下は悪くないよ、命令した上司が悪いんだよという事につながります。

夏の高校野球と繋げる話もありました。特に毎年夏は酷く暑くて熱中症でお亡くなりになる方も多いので「あの暑い中で野球って、日本のオッサン、特攻といい若い命散らすのが好きすぎるでしょ…」と思っていたのですが、同じような話が本の中に出てきてやっぱり…となりました。本当にダメだよ、高校生に無理強いさせては…。

 

話が不死身の特攻兵から離れたので、戻します。

佐々木氏は自分の事を大事にして欲しくないと仰っていましたが、著者としては命令を無視して自分の考えを貫いた特攻兵である佐々木氏の存在が著者と日本人の希望と読者の希望になるんじゃないかと思ってこの本を書いたことをあとがきで記しています。

空を飛ぶことが好きで自分と信頼できる仲間を信じて上官に反抗した特攻兵がいた…そこから「もう少し希望を持って生きてもいいかな」という気持ちになれそうな気がします。