衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

死から始まる期待『開かせていただき光栄です』

 楽しみにしていた1冊が楽しいと嬉しいですね。

読了。

18世紀ロンドンを舞台に解剖教室で新たな死体が発見される事から始まる解剖と殺人とある愛の話。ジョン・ハンターがモデルという事もあり、期待して読んだら期待に応えてくれた!

ジョン・ハンターがモデルになったダニエル・バートンよりもその弟子たちが活躍する、猥雑で不衛生なロンドンの描写が良い。

解剖シーンから始まることもあり「まずは殺す、そして適度な間隔で殺す」というロジャー・コーマンのメゾットを思い出しましたが、そのメゾットに一致する形で文章力がある皆川博子が書いてくれればそれは楽しいに決まっているじゃないですか!という気持ちなのですが、皆川博子ロジャー・コーマンはあまり結びつけないですね…。

 

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)

 

この本が参考文献にあるということで信頼が持てる。

 

写真と実物と

中川多理写真展「貴腐なる少年たちの肖像」に行ってきたときに、りーぬことマルスリーヌの写真を購入しました。

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本人と。

やっぱり我が家にいる彼女が大好き。 照明の関係もあるけど、写真の頃とは雰囲気が変わった気がします。

前はもう少し不安げだったのが、今は落ち着いて…というよりぽやぽやぼんやりしたコに育った気がします。

人間より下『家畜小屋』

読みたかった本を国会図書館で読んできました。

家畜小屋 (1959年)

家畜小屋 (1959年)

 

読了。

屠畜人の妻が豚になり豚を娶る「家畜小屋」、

厳格な父が病気をきっかけに人間の尊厳を地に落とす「鶏の脚」、

戦時下の少年たちが性欲のためにマネキンを改造する「女神像」の三編を収録。

表現がしたくて文章を選びました!な感じなので読みにくさはあるのだけど、その内容が人間より下、豚と等しく、犬より下!で、久々に変なの読んでしまった…という気持ちになる。

「家畜小屋」は汚物に塗れたり、豚としたり、「鶏の脚」は不随になった父を殴ったり動けないことをいいことに性器をいじられたりするので、SMとか知らないけど、なんかものすごくSMみたいなことをしている結果になっている。

それにしても読む前は平山夢明を泥臭くしてユーモアを抜いた感じかと思ったのですが、別物でしたね…。

 

古書で値段が高騰しているので読めずじまいでしたが、無事国会図書館で読めてよかったです。

下ネタありの大河ドラマ『兄弟』

無職だからページ数多い上下巻に手を出しちゃう。

兄弟 上 文革篇 (文春文庫)

兄弟 上 文革篇 (文春文庫)

 
兄弟 下 開放経済篇 (文春文庫)

兄弟 下 開放経済篇 (文春文庫)

 

読了。

衆便所で美女の尻を覗き見て御用となった少年時代の思い出から始まる兄弟の話。

弟がスケベでクズで、下ネタを交えつつ明るい調子で話が進んだかと思いきや文化大革命で兄弟の父が死に、兄弟はビービー泣き、町の人も殺されるか狂うかするという急展開が多い暗黒団地ともおでした…。

兄と町一番の美女の話が出て来るのだけど、下ネタから始まり、人が死に…とやった後に恋愛の話が出て来る。ここまでが上巻。

下巻では一度は借金を作り落ちたと思われた弟は大金持ちになって文字通りやりたい放題の末に処女膜美人コンテストを開く…って書いているだけでまったく訳がわからないのだけど、その通りだから仕方がない。

兄の方は大変不憫で組む相手を間違えたばっかりに身体改造までさせられて辺境の地で豊胸クリームを売り、その結果…というこちらも書いていてわけがわからないし、その通りなのだけど、意固地なのは良くないよ…と思うなど。

Twitterで変なあらすじの小説として紹介されていて気になっていたのですが、ページ数は上下合計900ページほど…ページ数でひるんでいましたが、テンポ良い文章で原文も翻訳も頑張ったのかスラスラ楽しく読めました。

人形のための練り切り

遅ればせながらひな祭りのお菓子を開封しました。

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大集合。りーぬの顔にピントが合っているの図。

お雛様用の練り切りです。

 

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ガラスの器には小さな練り切り。

ガラスの器には切子細工がされています。

人形町にある「壽堂」のお菓子なのですが、雛祭りの時期にこの器を持っていくと時間はかかるけれども詰めなおしてくれるとのこと。

去年買ったお重を持って行ったのですが、同居しているパートナーの口に合わないお菓子があったので、今年はガラスの器の練り切りを買いました。

復讐の食人鬼『ハンニバル・ライジング』

上下巻なのでひるんでいましたが、無事読めましたし、楽しかったです。

ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)

ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)

 
ハンニバル・ライジング 下巻 (新潮文庫)

ハンニバル・ライジング 下巻 (新潮文庫)

 

読了。

ハンニバル・レクターの少年時代。

戦火を避けて家族で避難した先でリトアニアの対独協力者たちに捕らえられ、酷い目に遭うも日本人の叔母:紫夫人に引き取られた後がドラマチック。

紫夫人はちょっとファンタスティックな日本人になっていてフフッとなるのですが、侮辱されたら刃物を取ってブレイモノ!と返すなどトマス・ハリスが考えた最強の日本美女になっているのでカッコいい!なんて思ってしまいます。

少年ハンニバルの最初の殺人は後にクラリスを侮辱した囚人を言葉責めして殺しちゃう姿と重なる行動があって、「やっぱりこの人はハンニバル・レクターだ!」となりますね。

少年ハンニバル、下巻では復讐の鬼と化し妹を食べた連中を容赦なく血祭りにしていくのですが、殺し方も残虐凝っていていい感じです。

トマス・ハリスの過去作品同様、無惨さとエンターテイメント性の高さは相変わらずで、解説にもある「読む喜び」に溢れている。無惨なだけじゃダメなんだよ…とワガママに育った心が満たされました。

 

獣になりたい、ロボットになりたいかはわからない『カファルド』

読みたかった本を古書で手に入れて読みました。

カファルド―小説 (1976年)

カファルド―小説 (1976年)

 

読了。

異国から来た女性の独白。場所も時間も飛び越え、人間ではない異形の存在になるという様子は読むシュールレアリスムということなのかしら。

4年ほど前に中川多理さんが人形の題材にされていたことがきっかけで知って、やっと読みました。

 

夜想#中川多理: 物語の中の少女

夜想#中川多理: 物語の中の少女

 

カファルド人形はこちらに収録。

狼耳で目がオッドアイ風で可愛いんです。