衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

音声ゴアグラインド2月号 特集:痩せたい身体

今月は10冊読めました。

今回は身体に関する本が多かったです。よって結果として身体の本を特集にまとめました。

 

身体以外の本。

1965〜71年までの現場第一主義の日本人総裁によるルワンダ立て直しの記録。現状ダメならいくらやってもこれ以上は悪くならないだろうな…という滑り出しから、地道な道のりを経ての交通の便とルワンダを去る話はやっぱりしんみりしてしまう。

 

平和といい、貿易といい、援助というものは、究極的には国民と国民との関係という、いわば人の問題である。この人の面を無視して進められる国際関係の基礎は、きわめて脆弱なものである

ルワンダ中央銀行総裁日記 増補版』中公新書

 

 

 

餓死した女性が書き綴っていた日記を書籍化したもの。

繰り返し苦しみから逃れるための手段としての希死…読ませることを想定していない肉声の文章に大変しんどくなる。存在は知っていながらも、一番読むことを躊躇していた本だったので、基本的には昼間に読んでいた。
南天が枯れたことに悪いことの前触れと感じ、常に何かに申し訳なさそうにしていると思えば、支払いが出来たことに感謝する…他所様の不思議な信仰と律儀な生活が餓死に向かう過程と思うと辛い。

一緒に死なせて頂きたい、後に残った者が、不幸だから。

 

特集:ボディポジティブ

たまたまダイエットへの考えた方の本が多かったですが、どれを読んでも大体は自己肯定感の話になる。

「今更、自分のことなんて大切にできねえよ…」と心が都丹庵士になりましたが、いつまでも落ち込んでもいられないので、考えてみました。

 

著者のことはまったく知らずに体型についての本として手にとりました。

Instagramで人気のダイエットアカウントだったそうです。

アカウント運営時の話もあり、掲載されている素人感あるけど可愛い雰囲気のイラストや漫画も伝わりやすいのも人気だったのかな…と思うなどした。その辺は若いお嬢さんの知らない文化圏だなぁ…と。

読んでいると、著者の周囲の人間関係の恵まれ具合が羨ましい。私も振り返れば、拒食気味になれば本機で心配してくれた友人、痩せたいと決意すれば的確なアドバイスをくれた友人、ダイエットを一緒に頑張って報告し合える友人など恵まれているところもあった。

 

 

過激な痩せたい話かと思ったら文化人類学的に読み解く痩せたい気持ちの話。中・高生から対象の新書レーベルから出ていることもあって、言葉選びが優しいし、安易な声掛けもよくない話もあって話の着地点もすごく慎重だけど…しかし、痩せたい。

 

 

幸せに痩せるのには、他人のためではなく、ありのままの自分を受け入れて…自己肯定感の話になってくる本。

身体について何か言うことは人権感覚を欠いたハラスメントなのだという。ハラスメントを受けた際の反応の中に私が思った「私がもっとやせていたら、こんなことを言われずに済んだのではないか」という言葉がそっくりあったし、何より構造がDVによく見られるとあり、ソワッとした。

加害者の暴力と被害者の無力感・罪悪感は出口のない悪循環を作るそうだけど…元交際手に「痩せる努力をしていない」と云われて、(拒食気味もあったけど)同棲解消までにできる限り痩せたら「食べていないからダメ」「体のことばかりが別れる理由じゃない」と言われましたね…さすがにこれは「私、今、モラハラされている…」ってなりましたよ。

ちなみにこの本のレビューに「痩せたい心に水をさすな!」とあり、それはそれでどうかと思いました。

 

結核と美意識について。

ちょっと病気っぽい感じが流行ったのは知っているけど、そこの掘り下げだったので知っている事を深めていく楽しみがあったけど、いろんな意味で無茶しやがって…であった。

ロマン主義の、ちょっと繊細な人がかかる病気から、不治の病で美女がかかる病気になり、結核にかかるのは美人、結核にかかると美しくなれると迷信に繋がるのだけど、そこまでロマンチックな病気ではないのはよくわかっているものの…コルセットの話で肋骨を締めるとあり、最近の話かな?となるなど。

instagramでダイエットアカウントがやたらサジェストされるんですけど、肋骨を締めるっていうのが流行っているみたいで…。学生時代にコルセットを締めて変形した肋骨の図版と本で再会したけど、現代でもやっていること変わんなさすぎでは…?

 

 

欧米の減量史。ビタミンの発見などの話も交えつつ、1920年代(だいたいアールデコ)の女性の身体について、要約すると過剰なドレスを着た状態からヌードに近い身体が重視され、若さ、少女的な未熟な状態こそ至高、ダイエットはコルセットが内化されたもの…ということになるのだけど、1920年代からそんなに変化がない上にここから痩せが固定された感。

最終的に摂食障害でお亡くなりなった某歌手の話になる。24年前の本なので、痩せたい社会を憂う終わり方をしている。結局、痩せたい、痩せていたいのだけど、ボディポジティブはどうなっていくんだろ?

 

今回読んだ本は参考にしあっている、共通して名前が出てくる人もいて、ボディポジティブのムーブメントの芽生えを感じる。

ただ、私はまだまだ自分を受け入れることも出来ないのですが、多数の認識が変わることで幸せになれる可能性はあるとは信じたい。

世界が変わるのには時間がかかるので、私の認識を変えることが大切でしょうね。

 

次回予告

楽しみに読みたい本

 

ナチスに隠れて出版された雑誌という事以外前情報なし…!

これから楽しみに読みます。