年上が新しいことにチャレンジしていて、それが楽しそうって元気が出るね。
読了。
ヤクザを取材する物書きである著者がピアノを習ってABBAのダンシング・クイーンを弾くまで。
歳を重ねてから学ぶ楽しさが語彙力豊富に語られるので、自分も何かを始めたくなるし、休んでいる趣味を復活させたいと思う。
どのくらいの期間で出来るようになるではなく「練習すれば出来る」という先生の教えもシンプル。もちろん、練習のコツは語られるけれども、著者の言葉が染みる。
「我々が世界に一つだけの花であるなら、才能も状況も全員が違う。その点を無視する自己啓発本は、本来、ただの気休めに過ぎない」
本当にそれ…私も趣味関係の練習は頑張ろう…。
大人になってからの習い事の教室選びのコツとも思えるような話もある。
「主役はあくまで俺であり、レッスンは俺が楽しくなくてはならない」…言葉が強いけど、大人になってから怒られたりしたくないし、先生怖いとか厭ですもんね…。
著者はそのうえで人間的にどんな人間が好きかを考えて教室探して出会ったのが、レイコ先生です。ABBAのダンシング・クイーンを弾きたいという著者に「練習すれば弾けない曲などありません」と言い切っていて、この先生は信頼できる…!となること請け合い。
最初のレッスンで著者が感じた「中学や高校の先生は、なぜレイコ先生のように言葉を尽くしてくれなかったのだろう」という気持ちや、その都度振り返る学校での音楽教育の事、純粋に音楽が楽しいと思えて練習に励み、レッスンに通う著者の様子からポジティブな気持ちになれます。
ピアノの話に時々ヤクザが混ざる一風変わったエッセイですが、読み心地はポジティブ!読者特典の発表会で著者がABBAのダンシング・クイーンを弾く様子が見られますが、表紙のコワモテの男性がピアノを弾いている姿と重なるし、緊張交じりながら明るくて、私も趣味関係の練習は頑張ろう…(2回目)ってなります。