衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

家族が語り始めたあの人は『父 中原淳一』『夫 中原淳一』

作品と作者は別に考えろといえども。

父 中原淳一

父 中原淳一

 

読了。

息子が語る中原淳一のこと。性的なものを嫌悪し、女性の心を持ち、女性を憎み(例外あり)、描いた少女たちは本人のあるべき姿…という様子が浮かんでくる。

家族についても愛したときとソウジャナイ時期の落差が激しく、周囲の人間は辛かったのでは…という気持ちになる。中原淳一の本を読んで「素人の女性相手に厳しいこと書きすぎでは?」と思ったを友人に云ったら教えて貰った本。

ホラーだと聞いていたけど、本当だった。家が死人が出ないファニーゲームみたいになっている。

 

 

夫中原淳一 (平凡社ライブラリー)

夫中原淳一 (平凡社ライブラリー)

 

読了。

これ、出版したんだ…中原淳一、亡くなっているしな…というほど、中原淳一モラハラっぷりとその妻・葦原邦子(著者)のDVされて頭回らない女子っぷりがすごい。

暴言の数々を「私が妻として至らなくて…」という口調で語られていて、読んでいていて辛い。

芦原邦子が小説を書いて送って、さあ、発表!となったら、中原淳一にバレて「いいかげんにしなさいッ、恥さらしなことを平気でやる。女は下等生物だよッ」って云われるんですよ…。芦原邦子はというとポカンとして、気持ちを傷付けたのは確かだし叱られるのはこたえたし、謹慎しようと思ったとか、暴言吐かれてもだいたいこんな感じ。

ね?DVされて頭が回らない女子みたいでしょ?暴力はされなかったみたいだけど、モラハラですよ、これは。

 

この2冊を読んで導き出されるのは「中原淳一、酷ぇ…」以外の何物でもない。

思えば女性におしゃれや素敵な生活を説けども、自立云々は知る限りではなかったはず。時代背景もあれども、実の娘にも「働かないでいいお嫁さんをしていればいい」みたいなことを平気で云うし、芦原邦子の仕事にも口出しをする様子は今まさに絶滅せんとしているが、まったく保護する必要がない田舎の老害ジジィそのものだった。

 

 

事の始まりはこの一冊。

新版  中原淳一 きもの読本 (コロナ・ブックス)

新版 中原淳一 きもの読本 (コロナ・ブックス)

 

着物が着たいし、中原淳一だし…と思って手に取ったら、素人相手でも容赦なく厳しいことをおっしゃる。日本人は着物が似合うという話に持っていくのに洋装で白人に混ざったら美人の日本人でもイマイチみたいな話を平気で書くのに、げんなりした。

よく考えてみたら、昔から素人に厳しい書き方はしていたけど、社会や自分の価値観の変化なのか昔は気にならなかったのに、すごく気になった。読んでいて素敵な気持ちになれると思って手に取ったのにな…。

 

この本には洋服生地で作る着物も掲載。ただし衽(おくみ)がなく、着物の形をした不思議な服で、そのことについては「(反物でないのに)衽をわざわざつくるのは形式だけまねて元の意味から外れた愚かなこと」といいきっている。

私がしていること(洋服生地で着物を作る)はインチキだと割り切っているけど…思えば遠くへ着たもんだー。