人形と暮らしている私が書いているブログなので、人形を扱った本の話もします。
読了。球体関節人形がちゃんと体を作って服も着せてあるのは何故?という所から始まる日本の人形史。
仏像など神事での人形と生活の中の遊ぶ道具としての人形の二部構成。
仏像は話が壮大になったり、水を入れておしっこをさせる仕掛けがある人形(豊作かどうか占うらしい)の話などはピンと来なかったけど、玩具としての人形は個人的にしっくりくる。人形は大人の嗜好品という要素もあって、江戸時代に作られた役者を模した人形の存在は初めて知った。
あと、長年存在は知っていたけど、裸体を観る機会がなかったファッションドールの裸体の写真が観られたのは良かった。大学時代に西洋の服装史でどんな服が流行っているか伝える手段で人形を使っていたのは知っていたけど、実は観たことはなかった。
体の作りがうちのレッタ(ボディが革)とかなり似ている。
読了。
西洋の文化から論じる人形のこと。私が愛好する人形の分野とは遠いかな…と思う話も多い一方、おとぎ話の持ち主を幸福にする一方周囲に迷惑をかける話に「こんな話もあるのか…」となる。
何人もの専門家が執筆しているのだけど、西洋視点でしっくりくる話が少ないのは、やっぱりある程度日本化してあるからなのかな。別の本で四谷シモンの人形は西洋っぽいけどガチ西洋と並べると日本っぽくみえるとあったし、西洋からやってきたのは確かだけど、だいぶ日本になじんだものなのかも。
ベルメールについての章では19世紀後半のドイツでチューリンゲン地方における大量生産による人形産業が発展し、それを背景にした作家としてロッテ・プリッツェルを紹介。
当時芸術方面のダンスの題材にされるなど、人気を博した作家で作風が今の作家に近い感じ。そして、私が知るのはたぶん初めて。人形と云う表現が現れた時代の話が展開されるのでベルメール人形の生まれた背景を感じることができた。
この本の中で一番しっくり来るのが付録として収録された四谷シモンのインタビュー。「動かせるので人形は玩具」「三つ折れ人形のようなお座りするものとか」「人形を作るのは好きだってことはあるでしょうが、結局、寂しかったんでしょうね、子供時代」などの言葉が染みるので、やっぱり私が好きなジャンルの人ではあるのだな…。
澁澤龍彦が紹介したベルメール人形が四谷シモンが今の作風に至るきっかけではあるので、そこから数えても50年と少し…私が好きな創作の、球体関節人形というジャンルはまだまだ歴史を作っている最中なのかしらね。
余談
こうして本を読むと知りたいことが増えていく…ハンス・ベルメールに至るまでの話でダダイズムの話もあるからダダイズムについてもう少し知りたいし、やたら取り上げられられるリラダン『未来のイヴ』は読みたいと思う(ページ数が多くて躊躇しているけど)。もう1つやたら取り上げられるホフマン『砂男』はだいぶ前に読んでいます。
他にも四谷シモンへのインタビューで「ベルメールの人形はあれは犯罪と云われた」という話もあり、このインタビュー(収録時期が書いていない…)ではまだ、四谷シモンはベルメール人形を見ていないとのこと。
この本では出会うかな?近々読みます。