期待していた本が期待に応えてくれると嬉しいですねぇ。
読了。
英国の快楽殺人鬼×米国の快楽殺人鬼。出会ってはいけない二人が出会ってしまったら…という小説。
出会うまでにすこし時間を要するけれども、血と内臓と精液が適度な間隔で流れるので飽きさせない。血を出したらモツも出さないとね!殺すので派手にしときました!というグロ描写も容赦ない。こういうのをサービス精神旺盛と云うのだ…という気持ち。
実のところ、アメリカのシリアルキラーマニアでゴスの腐女子である作者によるによるデニス・ニルセン×ジェフリー・ダーマーのBL同人誌と云えば話が早い。
死体と暮らす一人の男:ニルセン、アメリカの死体マニアの吸血鬼:ダーマー…どっちも死体大好きだし、同性愛者だし…妄想爆発させて絡ませてみた結果がこちら!という具合。
デニス・ニルセンをモデルにしたアンドリュー・コンプトン、ジェフリー・ダーマーをモデルにしたジェイ・バーン…性格は少し混ぜたり変えたりしているようだけれども、実際の事件で出てきたエピソードを元にしているんだろうな…という点がいくつもあって、ふふっとなる。
お互いに惹かれあうも死体が好きなので、互いが生きていることにドギマギしたり、カニバリズムをしないアンドリューが「どうして肉まで食べなければならないんだ?」と云うのに対して「一度も味わったことがないの?」と返したり、この2人のやり取りが絶妙。なんで食べるの?VSなんで食べないの?
最後にアンドリューが食べる肉や死体のことを思うと生きている人間を愛せなかった殺人鬼の恋愛譚である要素も十分にあって、グロいのとか好きですけど、それだけで喜べる年頃じゃない私を大変満足させてくれました。
この本、なかなか手に入らなくて、読むのをずっと後回しにしていたので、期待に応えてくれると嬉しいね。
ついシリアルキラー側について書いてしまいましたが、もう1組ゲイの元カップルがでてきて、その片割れがキーになっているのですが…すぐに死んでしまう医者の持ち物の中にシリアルキラーに関するペーパーバッグがあることもあり「シリアルキラーとかすでしょ?」と問いかけられている気持ちになる。…ええ、まぁ…あなたほど詳しくはないですけど。
二人の事がなんとなくわかる本
デニス・ニルセン。寂しがり屋で自己愛の人で死体愛好癖、複雑な性的嗜好で折り合いをつけられず犯罪に走ってしまったという印象。
死体処理法が雑でびっくりした。燃やすときにゴムと一緒に燃やすことをした以外は、隠し方や処理が雑でよく長年捕まらなかったなぁ…。
- 作者: ライオネルダーマー,Lionel Dahmer,小林宏明
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/08
- メディア: 単行本
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カニバリズム猟奇殺人でお馴染みジェフリー・ダーマーの父による手記。
ダーマー親子はそれぞれちょっとした、そしてあまり特別ではない先天的な疾患がある気がする。それを生きているうちにどう折り合いをつけたかが違うだけなのかもしれない。
…2つとも折り合いをつけるという言葉を使ってしまったけれども、この2人、人と繋がる方法が殺人なので、殺人は避ける選択をしなければならなかったのは、折り合いでいいかと…。