仕事とかかわっている時間が長くて本を読むスピードが遅い時は楽しい本を選びたいですね。
読了。
ロシア語通訳者によるロシアとロシア人についてのエッセイ。酒を飲まなきゃいい人だけど、酒を飲まなかったらこの人じゃあない…と思うほど酒の話が多い。
お酒飲んで酔っ払っちゃったからクーデター失敗しちゃった!エリツィンが酒を飲みながら酒の話をする様子にロシア人ってやっぱり飲兵衛さんなんだな…となるなど。
時代にもよるけど、国として不味い発言は精神病院送りにされる一方、お酒の罪はちょっと刑務所に入る程度で済むなど酒…酒の罪…軽いの…となるなど。
政治家だとゴルバチョフとエリツィンの話が多く、ギリギリリアルタイムで知っているので、「こういう人だったのか、へー」という気持ちになる部分も。
各章の終わりにコラムがあるのだけど、その中でソビエト時代でも貴族階級出身の作家によるロシア文学を教えていた話が出てくる。同時代で所見がある作家は粛清対象になってしまったので、古典を教えたほうが無難という話が出てきたのに対し、格差がある社会の方が文化が生まれるという鹿島茂の話を思い出すなどしました。
一方で食べものの話では、ロシアに関する映画を観てそこでみた塩をかけたジャガイモやペリメニを実際に作って食べる話が良かった。素朴な品で作品において食べ物が主題でなくてさりげなく出てくるものほど食べたくなる…ということだそうなのだけど、この指摘は確かにね!という気持ち。
少し前のロシアの事が楽しく知れて、ところどころで感情をかき回される心地よい読書でした。