人形が題材になっているとつい読んじゃう私。
読了。
1がアメリカ編、2が日本編。アメリカ編で出てきたお人形が、日本編に出てきます。
そう思うと様々な運命を辿っている人形だなぁ。
ちなみに原題だとアメリカ編は「SHIP OF DOLLS」日本編は「DOLLS OF HOPE」です。
アメリカ編は友情人形に付ける手紙の一等を貰うために奮闘する少女の話。親離れの話でもあり、少女が自分なりの幸せを選ぶ成長物語でもある。
児童文学なので、親を大事に、同級生に意地悪しちゃだめだよ、みたいなのもあるけど、大人になってから読むとそれはそれで悪くないです。なかなか子供の時にそういう教訓めいたものってなかなか響かなかったんですけどね。
日本編は山間の農村から土浦の女学校に入学させられた少女が人形の公式後見人となる成長物語。後に戦争になる不穏な空気はさほど感じずに終わりますが、後の現実を知るものとしては戦前のユートピアとして読みました。
土浦…これ舞台が茨城なんですよ!「青い目の人形」の作詞が野口雨情(茨城県の人物)だからということもあって、選ばれたのかしら?
その一方で主人公が北関東山間部出身なのですが、土浦を西にある町で海へと続く霞ケ浦…といっているのですが…土浦より東はだいたい海側なので、一体、どのへんだ?となりました。作者は海外の方だからご愛敬かな。
他にも取手から聖路加国際病院まで車で通うモダンガールの看護婦が出てくるのですが、昭和2年になかなか長距離通勤だな…いまだと高速道路利用で1時間だけど、当時のルートだと1時間半~2時間かな…などと出身者ぐらいしかツッコミを入れないだろう話もありました。
どちらも主人公の成長物語でいじめられたり、権力に屈して悔しい思いをするのですが、日本編はいじめた相手と和解がないので、それが妙に日本っぽいかなと思いました。
あとアメリカ編のエピソードでパクられた手紙の作者が日本編でちゃんと本来の作者に直っているのを見て、安心しました。よかった、よかった。