衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

着物が好きだから『着物の国のはてな』『きものを纏う美』

着物を着て暮らすことを始めたので、着物に関する本を手に取るようになりました。

楽しかった本2冊の感想などを。

着物の国のはてな

着物の国のはてな

  • 作者:片野 ゆか
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: 単行本
 

読了。

着物エッセイ。どうして着物の世界はこうなっているの?→専門家に聞いてみようの流れが安心。お太鼓結びに違和感があるという話があったのだけど、私も先日ギャーギャー云いながら結んだので、はい、わかります…となった。

今の着物のルールは茶道の世界の人が作ったものであり、茶道の着付けとその人に合った着付けは結構違う様子。「茶道はたぶん嫌いじゃないと思うけど、着こなし面では諸悪の根源みたい」と思って笑っちゃった。

 

あと、着物警察って呼び方はここ数年で呼ばれて広まったという話があって、ふふっとなるなど。6年ぐらい前の時点では他人の着物に一言多くて酷いと手が出る人の名称は「お直しおばさん」だった記憶があります。

 

 

きものを纏う美

きものを纏う美

 

読了。着物エッセイ。

日本にいた頃はお嬢様、現在はヨーロッパのセレブではあるのだけど、厭味がないので安心して読める。着物は新しく仕立てると高いからアンティーク店で似たようなのを探して楽しむことをさらっと薦めてくれる話もあって良い…。

 

この自称着物初心者応援エッセイ(ここでは紹介しません)を読んだ感想で「着物はお金がかかり、上流階級の人たちのもの」って感想があって大失敗だなぁ…と思ったけど、『きものを纏う美』は著者がセレブでもあるにも関わらず「新しいきものは気に入ったものがあっても高くて買えない場合もあるけど、デパートなどで下見をして古着屋さんで同じようなものを見付ける工夫」を語ってくれたのはなんだか許されたような気持ち。

劇薬本リストを読破する~Level1編~

4日連続公開企画の第1弾です。よろしくね!

この付録だった劇薬本&トラウマンガリストをすべて読むという試みをしたところ、無事読破となったので、短めのレビューなどをば。

今回はカテゴリーlevel1の短いレビューです。

 

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アジアウルルン納豆記『謎のアジア納豆』

納豆を食べているとき以外で納豆を旨いと思う人間でよかったと思う瞬間が来るとは思わなかった。

読了。

え?納豆って日本以外にもあるの?というつかみはOK!な本。

つかみ以上にアジアの山岳で~納豆と~出会ったーというアジアウルルン納豆記というべき膨大な旅の記録と実践は軽やかな語り口でページ数もなんのその、今年読んだこの本がスゴい食品部門暫定1位です!

 

日本にある植物で納豆を作ってみる回とか納豆を食するアジアと日本の東北や信州との比較など納豆でつながるのが楽しい。あと、水戸が納豆で有名なのは納豆ビジネスで成功したからだったのは、水戸出身の私も始めて知りました…なんだ、宇都宮の餃子みたいなもんか…水戸の納豆は明治からだけど。

 

それにしても納豆でつながる、広まっていく様子がとても楽しくて、みんな納豆で心がほぐれていく様子がいい。心が和めば世界は一つである…納豆のおかげで。

納豆を求めて様々な民族の皆様にお会いするのだけど、インパクトがあったのは、ミャンマーの元首狩り族の皆さん。首を狩っていて納豆を食べているので一派一絡げにされているのだけど、「首を狩っていて」「納豆を食べている」…そんな集合が世の中にあったんだ…とよくわからないけど感動した。

 

ここでみえてくるのは納豆はマイノリティの食べ物ということ。

そして、千利休が納豆汁を出していた話もあるのですが、これは身分関係なく…的な茶の湯の思想に通じる物もあるかな?などなんだか夢が広がります。

そしてこの本を読んでいる間に納豆食べました。食べたくなるじゃない、納豆の話ばかりされたらさぁ。

 

耽美腐敗臭『ネクロフィリア』

タイトルがド直球すぎてダメだったら怒るからな!と思いながら読んだけど、いい仕事でした。

ネクロフィリア

ネクロフィリア

 

読了。

死体愛好癖の男性による日記…という形を取った小説。

臭い、腐敗についての描写も手を抜かず、文章が装飾的で耽美な印象さえしてくる文章が癖になる。

小説で死体は書いても臭いって無かったことみたいな雑な仕事をされがちなだけあって、臭いもちゃんと書いて死体で文章が耽美というのは、良い仕事だし、主人公が古物商でそこそこ人と付き合いがあるっていうのも新鮮。

本当に良い仕事してますねー。

 

ちなみにこの本のフランス語版は澁澤龍彦の蔵書にあったそうです。「、はい…そうですよね…。