珍しく人から薦められた本を読みました。
読了。
犯罪の話しかない短編集。語り手である私(弁護士)が登場するという共通点がある。
女は犯され、男は犯罪に走り、子供はいじめに遭う…暗い、暗いそんな話ばかり。
一発目の「ふるさと祭り」はバイトの女子が酔っ払ったブラスバンドの連中に輪姦されて、人間の尊厳を奪われる目に遭う上に後味が悪い結末を迎える。
その後もいじめ、強姦、冤罪、誤認逮捕など暗いながらも、するっと読める作品が続く。さっと採れる毒という感じがする。
小説として、嫌いではないけれども、複雑なのはこの本を薦めてきたのは母である。
なんてものを娘に薦めてくるんだ…。
私は母に「この本が面白かった」ということはあれども、性的な要素が多い本は避けていたのに、母はそんな娘の配慮を顧みずにこれである。
小説自体は面白かったので、母よ、あなたはえらかった!と思えども、それでいいのか?という気持ちになる。
漫画家の荒木飛呂彦が「ハッピーエンドを踏襲しつつ、ちょっと殺したい」という発言をしていたけれども、私も「ハッピーエンドだけど、ちょっと死んでいる方がいい」と思っているので、よってジョジョは楽しい。
それはともかく、基本は100%前向きではしんどいが、かといって全部暗黒でもそれはそれでしんどい。
最後に、我が母の大変暗い内面がよく表れた言葉を書いておく。
「どんなに前向きに生きていこうと思っても、つい後ろを振り返ってしまう。するとそこには長く伸びた黒い影があって、その影を見つめるうちに明るくキラキラとした前向きなものが疑わしく感じられてどうしようもなくなる」
…これ、娘に言う言葉かよ!