貧困は自分自身に関わる問題と思っている。
読了。
子供向けに書かれた日本の貧困問題について。もちろん、大人が読んでも知ることばかり。
元が10年前の本で、具体的な策はあまりかかれていなのですが、語り口が自己責任論に疲れた身には優しい。特に前半は自己責任論がなぜダメかに答えていくような形で進んでいくので、心無い自己責任論で傷つかなくてもいいのかな…という気持ちになる。
個人の選択肢の多さや条件を「溜め」と表現し、努力の差ではなく溜めの大きさが格差につながるとしている。貧困に陥る人は溜めが少ない。
そして、その溜めを大きくする工夫が社会にあるのが大切というのが著者の考え方。
他の貧困に関する書籍も読んでいるので「貧困に関わることはきれいごとではないと思う…」となるも、ちゃんと困った人(お金を渡しても適切に使えない人、コミュニケーションが不適切ゆえに避けられる人など)についても少し触れているのでバランスをしっかり考えて書かれている気がする。
また、活動家についても客観的に見た話もよく理解しているようで、そこを乗り越えて伝えたいことがあるからか、わかりやすいしパワフル。
重い話が多いのですが、100%ORANGによる可愛い挿絵とわかりやすい説明で理解が深まる本なので、これは良い読書でした。
巻末の対談で女性の貧困についてはこの本の時点では見えにくいとされているので、貧困女子という考え方はこの後に出たものなのですね。
と、いうことは女性の貧困がわかりやすくなってはきているのかな…女子に限らず貧困に関しての社会の工夫や対策は早急にお願いしたいものです。