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人形を愛で、本を読み、肉を食べる

人間と人形の事『人形メディア学講義』

人形について論じた本が楽しいと大当たり!って気持ちです。

人形メディア学講義

人形メディア学講義

 

読了。

人形と人形文化について。元は大学の講義。言葉が伝わってきやすい選び方をしていることや、人形と人間の関係性について詳しいので、好印象。最初の宣言「人間のあるところに人形あり、人形のあるところに人間あり」ってとてもいいね。

メディアという特性もあって、人との関わりが必須だから、人形を所有したときの体験談が多い。

受講者たちの話でリカちゃん人形の四肢を寸断してシルバニアファミリーの餌として捧げていた、リカちゃんをすてて代わりに石にリカと名付けたという子供の残虐性が発揮された話がさらっとある。

 

人形(愛)というと澁澤龍彦なのですが、澁澤に触れながらも重きを置きすぎていないのが好印象でした。

人形の話するときに毎回出てくるので、食傷気味というのもあるのですが、読者のわがままとしてもう一歩先に進みたい。「人形を愛する者と人形は同一なのであり、人形愛の愛情は自己愛だった」という澁澤について多少触れた章では映画『ラースと、その彼女』が取り上げられています。

内気な青年:ラースがビアンカと名付けたラブドールと暮らし、それでも周囲の人間に受け入れられていく作品なのですが、久しぶりに思い返してみると人形を介して人間になるような話だったなぁ…と思います(映画自体を観たのが随分前)。

ビアンカが受け入れられ、またラースも受け入れられる…最後に訪れるビアンカのことも「役割を終えたから」という形で結論がされています。

そして章の最後、受講者への注意喚起の言葉を引用。

 (略)人形との《愛》と呼びえるような関係性について考えるヒントを大衆的な作品や文化事象に求める。だがそこで得た知見によって、エロティックで魔術的な対象としてラブドール等をとらえ接している人たちによき理解者を装い結果的に《暴力》をふるってしまうことがあってはならないのだと。

 もちろん展覧会に出向き、現代風俗文化のひとつとして精巧にできた人形たちを消費することに罪はない。だがその一方でそれらが有してきた/いる、いかがわしさや後ろ暗さのようなことをなかったことにすべきではない。読者の皆様にも《愛》とはそれほどにややこしく、それゆえに魅力的なのだということをくれぐれもお伝えしておきたい。

 菊地浩平『人形メディア学講義』河出書房新社 2018

 ここで出てくる多様性に通じる言葉。人形と暮らす私にもしっかり届いております。

 

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