長年寝かせていた本を満を持して読みました。
- 作者: イェジーコシンスキ,Jerzy Kosinski,西成彦
- 出版社/メーカー: 松籟社
- 発売日: 2011/08/05
- メディア: 単行本
- クリック: 65回
- この商品を含むブログ (7件) を見る
読了。
第二次世界大戦中の東欧にて親とはぐれてしまった少年が観たこの世の地獄。
グロの文脈で語られる事もある本だし、戦争物でグロいのは当たり前かと思ったけど、戦時下の狂気に久しぶりに揺さぶられるような作品だった。
暴力は標準装備…目玉をくりぬかれる下男、女たちのリンチで瓶を挿入されて腹を思いっ切り踏まれる女、ネズミに生きたまま喰われて白骨化する男、家族の協力も得て獣姦に走る女…これらが子供が観た戦争の風景として描かれていて、あとがきによると実際スキャンダラスな扱いの本だったとのこと。
また、これらの残酷描写は作者の母国の友人には牧歌的と捕らえられたそうで、見たことのない人間にしかわからぬ地獄がある様子。
そしてこの本を書いた目的は「恐怖を映し出してそれを祓うため」とのことで、グロいのが書きたい本とは一線を画すそんな印象。
ある村が集団で虐殺&強姦されるシーン、どっかで読んだと思ったら平山夢明『全身複雑骨折』に出て来たおばあちゃんの戦争体験だった。
ああいうやり口なのか…と恐ろしい気持ちになるなど。