衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

現実対虚構『倒立する塔の殺人』

なかなか良い感じに読書がはかどっております。

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)

倒立する塔の殺人 (PHP文芸文庫)

 

読了

戦中~終戦のミッションスクールを舞台に女学生たちの愛憎渦巻くミステリー。

謎解きの部分よりも女学生たちのキャラクターや関係性の方が楽しかったです。

耽美さもあるけど、普通の女子がいるのもいい。

主に出てくる人物が美少女、美少女、細身で病弱な美少女という感じですが、主人公は丈夫そうで傍から見たらぼんやりしている普通の女子だし、ミッション系の学校にいるのにまったくおしゃれさがなくてだらしなくてウザイ感じのコもいる。

そして、全編を通して出てくるだらしなくてウザいコの印象が終盤で変わるのもよかったです。終盤ですごく可愛げが出てくる不思議な人物でした。

 

ミステリーなので終盤で謎が明かされるのですが、ある人物とある人物の関係が「力では勝てそうな小さい相手に傅く」だったので、思わぬところでグッときました。

沙村広明の漫画で小柄な女子が大柄な男を従えているようなのが好きなのです。残念ながら、私は自分よりも大きなものに傅いてもらえないので、もっぱら人形に甘い人になっています。