衛生ゴアグラインド

人形を愛で、本を読み、肉を食べる

病まずとも『「いかがわしさ」の精神療法』『秘密と友情』

病んでいたほうがいい作品が描ける?論争があったそうで、好きな画家さんがその話をしているのをTwitterで見るなど。その方の結論は「現状に対する不満、葛藤や怒り、問題意識の有無であり病んでいるかではない」とのこと。

幸せになると作品がつまらなくなるなんて云い分は過去に何度も見てきたし、身近では我が母が「作家のエッセイは初期は面白くても金を持ち出すと途端に俗っぽくてつまらなくなる」と云っていたのを思い出しますが、怨みはパワー、憎しみはやる気というのは私個人の過去の出来事を顧みてもわからなくはないです。

 

画家からの側面で病んでいるのは重要ではないと思いますよ、という話が出たわけですが、病んでいる人を専門的に診ている精神科医春日武彦氏の本で「精神的な病気の患者が芸術の才能があった話は全くといっていいほど無い」「病んでいる歌人は多いが、病んでいる人に歌人の才能があるというケースはない」という話をしていました。

この説は今後もことあるごとに思い出していきたい所存。

 

ただ療法として何か作品作りに打ち込むというケースはあったのか、行きつけの店の店主が精神病患者の作品展に行ったことがあるという話をしてくれたことがあります。

「大きなキャンバスに黒電話がいっぱいに描かれていて、タイトルが『ピンクの電話』なんだよ!」と大変楽しそうに話してくれました。

 

「いかがわしさ」の精神療法

「いかがわしさ」の精神療法

 

先の記述はたしかこの本。 他にはだらしなさを指摘する前に語彙を豊富にしようという論考が面白かった。語彙が貧弱故に言葉で言い表せぬ事象が増え、結果、社会から見れば歪な存在となっていくという話なのですが…私は社会不適合者だけど、そこまで歪な何かにはなりたくないなぁ。

秘密と友情 (新潮文庫)

秘密と友情 (新潮文庫)

 

歌人の話が出たのでこの本も。

春日武彦穂村弘の対談集。テーマに沿って対談しているのですが、穂村弘が「ガールフレンドが出来る前に死ななくて本当に良かった」と語る「孤独」がテーマの回、春日武彦が「家族の病理は健全な順に逃げ出し結果病理性があるのが残って凝縮する」と語る「家族」の回が良かった。  

肝心の穂村さんは最近父から子へ送る本に『漂流教室』を薦めているのがネットで話題になっていました。