好きなものを集めてそれでいてくどくない『絵小説』

雪で休みだったので、ほとんど外に出ず、家で料理をしたり本を読んだりしました。

絵小説

絵小説

 

 短編集。話の舞台は戦前の日本が中心。美女とマネキンが重なる「赤い蝋燭と…」と妾の子である少年と正妻の子である少女による異母兄弟の「塔」、そして人形と宇野亞喜良について記述が出てくる「あれ」が好き。

挿絵が宇野亞喜良…というよりも皆川博子が選んだ詩から宇野亞喜良が絵を描き、さらにそこから皆川博子が小説を書くという云うながれだったそうです。

そして、「あれ」という短編の中で宇野亞喜良について触れていると同時に、更にベルメール、球体関節といった単語が出てきていて、意外そうで意外では無いところで馴染みのものに会うという不思議な感じがありました。

皆川博子の本には吉田良や中川多理といった人形作家の人形の写真が使われているのですが、その一方で吉田良の人形写真集に皆川博子が文章を寄せているので人形に好意的な様子がうかがえます。

「赤い蝋燭と…」はマネキンですが、「塔」でも人形というワードが出てくるので、好きなものをサラッと組み込まれたようでよい感じです。

人形って強い存在で、ワードとして強すぎてしまったり、ホラー小説で怖がらせるための道具で出てくるので、好意的かつ上手く使えている話が好きです。