衛生ゴアグラインド

人形を愛で、本を読み、肉を食べる

猟奇の時効:蹂躙史トークショー2012年3月20日

引っ越しに伴う片付けで2012年3月20日に行われた漫画家:沙村広明×人形作家:森馨による蹂躙史のトークショーのメモが出てきたので、今更ながら書き起こし。

5年前の見解ですので、各人の公式発言ではないものとして扱って頂けたらと思います。

なお、メモが読み取れなかった箇所もあるので、ダイジェスト的になっているのと、一部語弊がありそうな箇所は削除しました。

 

蹂躙史エピトマイザ

展示会詳細

イベント詳細

 

 

 

展覧会について

森「よいコラボだといわれてうれしい。女の子が人形っぽいし、シチュエーションのセンス…女の子の責められ加減が同じでうれしい」

沙村「展示のきっかけは『穴が一つ余計に開いているコはかわいそう』女の子をかわいそうなところに置くのが好き。男たちの暴力の前に出されたら…」

森「ドキドキしますね」

沙村「そんな(穴が一つ余計に開いているコ)の絵を見せたらそんな人形を作ってきた」

森「沙村さんが人形を触りながら『これ、行けますよ!』って」

 

沙村「テキストはお互いに勝手に書いた。森さんの人形を見て絵を描いた」

 

沙村「展示はそんなに見ないけど、人形をまじまじ見て『なんて美少女なんだ』と写メをとった。萌えるところから始まった」

 

森「沙村さんの設定がすごい。人形も顔を綺麗にするので美意識が一緒(*沙村さんの絵はひどい目に遭っても顔は綺麗な状態のことがほとんど)。シチュエーションが素晴らしい。表情が素晴らしい」

沙村「人形は表情をつけすぎるのはダメ。フィギュア寄りになるから」

 

森「できれば笑っていない。困っている。そのほうが感情を入れやすいから」

沙村「かわいそうな感じ…森さんって昔はこんなコ?」

森「田舎のコだったので、ない…」

森「暗黒時代を送った女子は笑ったところよりシンパシーを感じそう。沙村さんのコもそう」

 

沙村「この作品(蹂躙史)も女性が酷い目にあっているけど、ブラッドハーレーもひどい目に遭っても諦めている。腹をくくって辛いのが終わっておだやか(人形にも通じる)。静けさが良い」

 

沙村「行為よりも終わった後に目を伏しているのが好き。皆がエロスとアートをどうとらえているかわからない。(沙村さん自身の作品は)漫画家の描くイラストであって、アートではない。話をつくって(お腹に産道があるという設定の)、女性の象徴や神々しさがなぶられるストーリーを作って絵を描くのはアートではない…締め切りに追われて描いた。芸術ではありえない。下衆なことだけど好きだからいいと開き直ったし、画廊のお客さんが求めるものを度外視して作ったので気楽ではあった」

 

沙村「話が来たときカラーの話もあったけど、時間がなかった。美術的云々ではなく、鉛筆で描くのはアートの人には引けはとらないけどカラーはダメ。うまく描けない。いまだにやり直しもある」

 

森「あの体型(お腹に穴があるコ)はほかにも作ろうとしたけど、不運な目に遭った女の子なら作ろうとした。ブラッドハーレーを意識した」

沙村「100%1つのテーマではなくて、3割混ざる感じ」

 

人形などについて

沙村「森さんの人形を預かって『ヨゴレにしてもいいですか?』と聞いたら『素晴らしいですね』と返してきた。なんて人だと思った。(蹂躙史収録のくまと女の子の絵は)家族に虐げられた女の子が別の人に売られてとある場所に死体があがって、お腹がさけていて…」

沙村「(女の子が立っている絵について)設定としては男の人に連れ去られて、男の人が先に出てきてあとから放心状態のルビーちゃんが出てきてこれ…ルビーちゃんのこの辺は謎の液体で汚れています。何って謎の液体です。アートだったら謎の液体はかけない」

沙村「(森さん作の人形の)ルビーは俺が視姦した!」

森「箔がついたと思います」

沙村「森さんの人形を預かっている時に親が家に来てしまい、親を追い返し、人形を持ってどこに隠すかあたふたした。今は使わなくなった妹の部屋に入れて事なきを得た。漫画…ローゼンメイデンみたいに『広明、開けなさい!』『厭だ!』なんてノリだった」

 

森「人形は工芸かアートかって云われるけど人形は飾るし、グレーゾーン。なんとでも云える」

沙村「自分の人形の事は云っていないね。人形の魅力は森さんの造形力…骨の子はアートっぽくて、バックボーンなしに様々なメタファーがあるのが自分の思うアート」

 

森「局部に血、ずっと血を流している」

沙村「アートっぽい」

森「閉経したら血が懐かしくなる?ロマンティックだと思う」

 

途中で春風るな(現・Grotesque Athena)によるストリップショー。

 

森「これはファンになりますね」

沙村「薄暗い中で肋骨の印影が素晴らしかった」

 

Q&Aコーナー

Q.お腹に穴の設定で続きは?

A。沙村「エロティクスFに話したら好評。虞美人(蹂躙史に出てくる娼館)には上客しかいけない部屋があって、そこには乱歩的な手足がない、見えないコ…というのを考えたけど倫理的に書かなかった」

 

Q.女性的に不愉快だけど、男性目線、女性目線でのこと

A.

森「自分じゃないのでいい。悲惨にはしない、表情も辛くさせない。救いがあるようにはする。それがあればOK」

沙村「作られた者なのでOKということにしている。女性を現実で痛い目に遭わせるのはできない。想像の中で昇華できればいい。絵や人形で、頭の中で楽しみたい人のためのもの。不快な人はいるのは知っているけど、現実で起きたことではないので許してほしい。

人形はそのままではないけど、絵は行為を描いているので不快に思われているのであれば申し訳ない。

今回の作品について何か思想が込められていると考えられては困る」

 

Q.作品を作った後の心境

沙村「描いたらサバサバしている。絵は絵。その中の女の子の独自に頭の中で手を離れた後に出てくる。描いているときはその子の人格や魂に触れている」

森「沙村さんと同じ。執着はないけど話はある。形にして出すと娼館の女主人。嫁入りすると『良い嫁になっておいで』と思う。作品に新たな人生ができる。人形が好きで壊されても文句は言わない」

 

るなさんからもコメントを頂く

沙村「踊っているときに会場の狭さは意識しました?」

るな「考えて踊るが、かすることもある。今までと感覚が違う。当たったらまずいものはさける。

今回のショーについて

るな「作品を意識し、ブックレットを読みながら考えた。感覚でなんとなく受けて細かく決め過ぎずにやってみた。人形も好きで、怪獣だけど人形作りを天野大吉さんに教えてもらった」

森「大吉さんの作品も素敵」

るな「(沙村さん、森さんについて)どんな人たちなんだろうって思った」

森「音楽も素敵だった。こういうショーとはチョイスが違う」

ルナ「イメージで選んだ。可愛すぎず、暗すぎず…(ショーに使った)豚は悪い人のイメージ。撮影で使ったものの流用。お腹の穴のことで悩みました」

沙村「悩んでくれてうれしい」

 

Q.どういう風にテーマが思いつくのか

A

沙村「ネットで他国の死体画像を観ると想像を絶するけど、日本人の考えを出ない。

責め絵の時は毎月の仕事だったので被らないようにしていた。お腹に穴のコも実際の戦中で行われたことをしなかった。

性交と出産を切り離す。人形を観たときにエロいと思ったけど」

(このことに関して、司会進行の宮田哲也氏に「自分を追い込んで作られるイメージと云われる)

 

森「一人の役者を作るような、一人の人を作る。

突飛な発想はいらない。パーツは別で作る。五体満足でなくてもいいし、フリークスっぽい。人形が嫌な雰囲気でなければ…」

 

Q最近見て印象に残った作品

るな「プチバンビ。フランスのアニメでフランス版の怪物君や鬼太郎みたいな作品。『トイレット』って映画が楽しかった」

沙村「DVDで観た『トロンレガシー』」

森「あまりない。今朝。鉄拳のパラパラ漫画で泣いた。『セルビアンフィルム』は見逃しました」

沙村「自分のインプットはSM秘小説の挿絵で育った。いつか好きにやりたい。責め絵的…伊藤晴雨的なものをやろうとしているわけではない」

 

 書き起こしてみて

5年前にこんなことしていたのか~と懐かしくなりました。

この5年の間に沙村広明が結婚されたことにより、残酷な作品に関してはもう少し趣旨の変わった発言を別のインタビューでされていた記憶があります。

そして私も趣味が変わってきた気がします。あんまり血や内臓が出る表現を求めなくなってきました。

大越孝太郎で猟奇というキーワードを知って、それに関するものを集めていたのですが、どうも世間のそれとは違うようで、ギャラリー単位での猟奇のワードでくくられた展示を観ると「そんなに血とか内臓とか出ていなくていいんだけどな~」と謎の感想を持っています。

書き起こしたことでトークショーで語られた人形観…人形は貰われてからの人生がある話と沙村広明の酷いことをしても顔は綺麗なままにしておくという美意識に関しては今も変わらないなと思いました。結構、顔を傷つけられる表現って、私はそわっとするもんで。

 

 

森馨 人形作品集「Ghost marriage〜冥婚〜」 (TH ART Series)

森馨 人形作品集「Ghost marriage〜冥婚〜」 (TH ART Series)

 

人形作家:森馨さんの人形写真集。

沙村広明のイラストも掲載。