お祓いと幸福『鬱屈精神科医、お祓いを試みる』

 

鬱屈精神科医、お祓いを試みる

鬱屈精神科医、お祓いを試みる

 

 

読了。 住居や生活に関してのエッセイ(著者としては私小説)。

前作が『鬱屈精神科医、占いにすがる』なので神社めぐりかと思ったら違った。 お祓いはモーパッサンエッフェル塔が見えないからという理由でエッフェル塔のカフェで食事をしていたことにヒントを得て、あえて自分を認めなかった母が住んでいた家に住むことをお祓いとしたからとのこと。

 

著者が精神科医なので患者が変な家を作った、持っていたというエピソードも近くにいたら大迷惑だが読み物として楽しい。全体的なトーンが暗くて落ち着く。それほどメインには出てこない配偶者と著者のエピソードがとても良い。

うたたねをしていたら、配偶者が歌を歌いながら食事の準備をしていたという話なのですが、その様子を「今現在を肯定している気持ちが、そのまま素直に歌という形を取っているように感じられた」とあり、「大きな安堵感であった」と表現している。

 同じ著者の『幸福論』では著者の配偶者が著者の寝室に猫(配偶者にしか懐かない)を入れるエピソードが幸福の1つ数えられていたが、幸福なるものは自分の日常で感じる安堵なのかもしれないと思いつつも、幸福について語ると途端に胡散臭くなるので、この辺で。

 

幸福論 ―精神科医の見た心のバランス (講談社現代新書)

幸福論 ―精神科医の見た心のバランス (講談社現代新書)

 

 斜に構えた話ばかりなのですが、珍しいものを見たことを世界の仕組みを観たと表現するなど「確かにそれはちょっと嬉しい」と思う話が多々ある。