縛り読書:物語の中の少女たち

縛り読書…テーマや制限を決めて読書をするという事をしたことがあります。

この文学賞を取った作品を読むとか、新潮文庫の百冊を本当に百冊読むとかそういうのです。こうした縛り読書の辛いところは「自分が嫌いな作品も読まなくちゃいけない」という点。

我が母は新潮文庫の百冊を本当に百冊読むという縛り読書をしていましたが、嫌いな作家が出るたびに「大嫌いな作家の本ですが、修行だと思うことにします」と云っていました。一体何の修行なのでしょう?かくいう私も文学賞、それも新人賞もの縛りの読書をしたことがありますが「苦行僧か」「その文学賞の対象読者にお前はいない」などと云われました。変なところで親子です。

 

さて、今回の縛り読書は中川多理さんの物語の中の少女たちシリーズの人形たちのもとになった小説を読む…題して物語の中の少女縛り読書です。好きなもの関係なので、こちらは基本的に楽しい読書でした。

人形の感想と併せてお楽しみくださいませ。

 

 

 

氷 (ちくま文庫)

氷 (ちくま文庫)

 

 凍りついていく終末を迎える世界で失踪したアルビノ少女と彼女を探し求めに世界を奔走する男の話。ちょっと話が拾いにくい箇所が多かった。

被虐のアルビノ少女が最後に「自分は自分で守りたかった」と心中を告白するシーンが好き。

この作品から作られた人形はアルビノ少女を3体。菫色のドレスVer、眠り目Ver、腕折れVerで作中で様々な姿を見せる少女をいろいろ楽しめました。

 

黒い美術館―マンディアルグ短編集 (白水Uブックス)

黒い美術館―マンディアルグ短編集 (白水Uブックス)

 

 「仔羊の血」目当てで読んだ短編集。「仔羊の血」はペットのウサギにしか興味がない少女が一晩にして受ける被虐の物語。こういう話は救いがないことが多いけど、マルスリーヌは転んでもタダでは起きないので最高。

うちのマルスリーヌはこの話から作られました。購入の約束をした後に読んだので「これはやっぱりうちのコなのだ…」と強く思い込んで今に至ります。

展示の時は裸にウサギを着ているという格好でしたが、ペットのウサギ:スウシーとの戯れのシーンをイメージしたとのこと。

 

 

 夜想の第一号がマンディアルグ特集だったこともあり、パラボリカでは過去にも展示のテーマになった海の百合。

伯爵令嬢ヴァニーナが友人と旅行に行った先で好みの男性と出会い、彼にいろんな手順を踏ませて初体験を済ませる話…って書くとすごくさらっとしてしまうのだけど、誇り高き純潔者のヴァニーナが欲望を具現化するためにあれこれ指図して実際に具現するのは大変SM的。

人形は黒いドレスを着て儀式の総仕上げに向かう様子でした。展示の際は砂を敷いていてその後についても思いを馳せられるいい展示でした。

 

 

死の泉 (ハヤカワ文庫JA)

死の泉 (ハヤカワ文庫JA)

 

 ナチスドイツの時代に実在した福祉施設:レーベンスボルンに入所した女性と施設で育った子供たちの地獄の大河ドラマ

戦時下の異様な施設や人工フリークスなど、モチーフ負けせずに読み物として楽しく仕上がっていて分厚さをものともせずに読み終えました。

 

人形化されたのは双子。作中でそれほどページは割かれていないもののかなりのインパクトを残す姿をしていた人工の結合双生児なのですが、あらかじめ予習して見に行ったので読書する楽しみと人形を見に行く楽しみが合わさった感動がありました。

 

エレンディラ (ちくま文庫)

エレンディラ (ちくま文庫)

 

 表題作は財産を燃やしてしまったがために祖母に売春を強要されるエレンディラのお話。

人形は珍しく褐色肌で目鼻立ちもよりはっきりくっきりして、ボディもいつもよりも豊満な作り。意志が強そうな顔立ちだったので、もう最初から最後まで見据えているかのようでした。

 

物語の中の少女シリーズは読書の幅が広がる、読んだことがある本なら人形を見に行く楽しみがあるので、今後も細々と続いてほしいです。

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「私と同じ名前の女の子が酷い目に遭っている…」