衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

節分、鬼あそび

読書の話題が多くなってきたこのブログですが、お人形ブログを目指していたんですよね…実は。

というわけで、りーぬが久しぶりに登場です。

 

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節分なので、鬼のお面をつけました。

チェーンソーを持たせたので、間違ったなまはげみたいになっています。

 

最近、読者登録が増えたので、改めて紹介すると、青いワンピースのお人形がマルスリーヌ(通称:りーぬ)、りーぬの膝にいる小さい人形がレレチカ、豆の袋に興味津々なのがイノサンです。

マルスリーヌはマンディアルグ「仔羊の血」のヒロインを元ネタにした人形で、レレチカは名前の由来がソログープ「かくれんぼ」でどちらも人形作家の中川多理さん作。

イノサンは中川多理さんのワークショップで組み立てた人形です。

 

最初の頃に書いたもっと詳しい説明

hikimusubi.hatenablog.com

友情と希望『青い目の人形物語』

 人形が題材になっているとつい読んじゃう私。

青い目の人形物語 (1) 平和への願い アメリカ編

青い目の人形物語 (1) 平和への願い アメリカ編

 
青い目の人形物語 (II) 希望の人形 日本編

青い目の人形物語 (II) 希望の人形 日本編

 

読了。

1がアメリカ編、2が日本編。アメリカ編で出てきたお人形が、日本編に出てきます。

そう思うと様々な運命を辿っている人形だなぁ。

ちなみに原題だとアメリカ編は「SHIP OF DOLLS」日本編は「DOLLS OF HOPE」です。

 

アメリカ編は友情人形に付ける手紙の一等を貰うために奮闘する少女の話。親離れの話でもあり、少女が自分なりの幸せを選ぶ成長物語でもある。

児童文学なので、親を大事に、同級生に意地悪しちゃだめだよ、みたいなのもあるけど、大人になってから読むとそれはそれで悪くないです。なかなか子供の時にそういう教訓めいたものってなかなか響かなかったんですけどね。

 

日本編は山間の農村から土浦の女学校に入学させられた少女が人形の公式後見人となる成長物語。後に戦争になる不穏な空気はさほど感じずに終わりますが、後の現実を知るものとしては戦前のユートピアとして読みました。

土浦…これ舞台が茨城なんですよ!「青い目の人形」の作詞が野口雨情(茨城県の人物)だからということもあって、選ばれたのかしら?

その一方で主人公が北関東山間部出身なのですが、土浦を西にある町で海へと続く霞ケ浦…といっているのですが…土浦より東はだいたい海側なので、一体、どのへんだ?となりました。作者は海外の方だからご愛敬かな。

他にも取手から聖路加国際病院まで車で通うモダンガールの看護婦が出てくるのですが、昭和2年になかなか長距離通勤だな…いまだと高速道路利用で1時間だけど、当時のルートだと1時間半~2時間かな…などと出身者ぐらいしかツッコミを入れないだろう話もありました。

 

どちらも主人公の成長物語でいじめられたり、権力に屈して悔しい思いをするのですが、日本編はいじめた相手と和解がないので、それが妙に日本っぽいかなと思いました。

あとアメリカ編のエピソードでパクられた手紙の作者が日本編でちゃんと本来の作者に直っているのを見て、安心しました。よかった、よかった。

私の人形は素敵な人形『りかさん』

 

りかさん (新潮文庫)

りかさん (新潮文庫)

 

読了。

人と心を通わせる事ができる日本人形「りか」と彼女の新たな持ち主になった少女と周囲の話。児童文学なので本自体はサクッと読めますが、その中に出てくる人形観が大変刺さる。

少女と祖母の会話で「人形の使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとことん整理してあげる事にある」と出て来るけど、私が人形が欲しいと思った理由そのまますぎてびっくりした。

りーぬというわけではなく、人形を探して身請けしようと思った理由が「私は愛が重すぎるから人間としてのバランスを取るために自分の好みの容姿の人形を身請けしたい」だったので。

この本自体は去年の終わりぐらいにりーぬの作者の中川多理さんが紹介していたので知りました。好きな人から好きなものを見つけ出せると嬉しいです。

服従と抵抗『人形つくり』

久々に掘り出し物を見つけた感。こういう時にいい仕事していますね…と勝手に鑑定団になってします。

人形つくり (ドーキー・アーカイヴ)

人形つくり (ドーキー・アーカイヴ)

 

読了。

外国人の子供の家庭教師を務めることになった女学生の不思議な手記と顚末「リングストーン」、女学生と木彫りで人形を作る青年の物語「人形つくり」を収録。

「リングストーン」では終盤に体操着の女子へのフェティシズムが、「人形つくり」では服従マゾヒズムがあふれていて、サーバンの変態性がしっかり出ていてかつ作風は丁寧で品がある。

ちなみにサーバンはイギリス人で本職は外交官、出身は炭鉱町で労働者階級。変態性あふれる作品を少数だけ残した作家だそうで「イギリスの団鬼六というわけではない」「拘束具が好き」…というのは国書刊行会の冊子からの情報。

本に収録されている解説によると数少ない邦訳『角笛の音の響くとき』では全裸に羽や毛皮を纏った女性を狩るシーンがあり、「わたしが女性に求める種類の歓びは実行が不可能」という言葉を日記に残していたり、木製の関節付きの人形を自ら制作するなどかなりの変態のご様子。…悩む前にフィティッシュバーとか来ればよかったのにね(たぶん、当時はなかったのでは…)。

 

少し作者の話が長くなりましたが、今回「人形つくり」に関しては私は人形になりたい系のM女ではないので、ハマらなかったものの、好感が持てる作品ではあった。

下記はネタバレ含む感想。

 

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人形たちとクリスマス

クリスマスっぽい写真を撮りました。

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あまり人形たちを使って幻想的な何かというよりは、人間と暮らす人形という感じでお送りしております。

りーぬが心なしか不満げなのはブッシュ・ド・ノエルにできないツリーだからかしら?

 

 

読書する喜び『夜想#中川多理—物語の中の少女』出版記念展・京都巡回展

夜想#中川多理—物語の中の少女』出版記念展・京都巡回展の感想を書いていないのを思い出したので、その感想。

 

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少女とあるけれども、今回は男子率高め。ただ、男子という創作人形では比率的に多くはない造形で見せてくれることにより、作者の造形力や表現力の幅がかなりあることが感じられる展示になっていました。

特に青年の人形が4体あったので、今までの展示とはだいぶ毛色が違う。中川多理さんの少年ばかりの展示は過去のグループ展であったけれども(2013年のグループ展「Elpis」)、中川多理さんによる青年の人形は初めて。

新作の少女は小鳥シリーズと云われる侍女の姿をした少女たちと、夜想特装版のちびっこたち。少女の短髪率が高くて、特にうちのりーぬことマルスリーヌのちびっこVerが短髪だったので「うちのりーぬも短髪にしてもいいんですよ?」と思いました。私、短髪の美少女が好きなんです。りーぬを身請けするときに長髪だったのが気になっていましたが、長髪なので宇野亞喜良の女子っぽさもあるわけで…と、脱線するので、この話題はこれまで。

 

私が中川多理さんの作品を見始めた頃…過去の作品もありましたが、顔立ちの変遷が辿れるようで面白かったです。この頃はまだ中川多理さんの作品を身請けするとか考えていなかったなぁ…と一人で感慨深くなっていました。

 

 

さて、物語の中の少女シリーズは2015年から始まり、2回目ぐらいから展示より前の時点でどの作品から人形を作るかわかるようになっていました(たしか、1回目は直前に発表だったはず)。

特に今回は展示の前にメルマガでリストアップされていました。

今回は下記の通り。

 

三島由紀夫『癩王のテラス』

アントナン・アルトーヘリオガバルスまたは戴冠せるアナーキスト

服部まゆみ『この闇と光』

山崎俊夫『耶蘇降臨祭前夜』

山尾悠子『角砂糖の日』

 

…こうして書いてくださったのだから、予習していくに越したことはない!というわけで、私は『癩王のテラス』と『この闇と光』を予習して挑みました。

 

決定版 三島由紀夫全集〈25〉戯曲(5)

決定版 三島由紀夫全集〈25〉戯曲(5)

 

『癩王のテラス』が絶版なので、全集で読むという暴挙。

「癩王のテラス」は寺院の完成と反比例して王の美しい容姿が崩れていくも意外な勝利をみせる戯曲。

この作品からできた人形がメインに来ていたので、これは読んでおいて大正解だった。

全集自体は知らない話が大半だったのだけど、「聖セバスチァンの殉教」に関しては「本当にこの題材大好きなんですね!」と思うなどしました。

「子供のころ…『聖セバスチァンの殉教』ってありますよね…あの絵…画集で見たときですね。あの「セバスチァン」が矢を受けて傷付いている「肉体」…あれ…初めて見た時…なんていうかその…下品なんですが…フフ…射精…しちゃいましてね…」と三島由紀夫が思っていそうな作品だと認識しております。

 

 

この闇と光 (角川文庫)

この闇と光 (角川文庫)

 

 以前書いた感想はこちら↓

hikimusubi.hatenablog.com

これは実は肝心のところがネタバレしたうえで読みましたが、やっぱり予習してレイア姫を観に行ってよかったです。

造形が「たしかにこの人形はレイア姫だ」と思えるものだったので。

 

 

始まりの話

創作人形が好きな人は一体、どこから入ってきたんだろう?という呟きを見かけたので、何度目かわからないけど最初の話。

 

私の創作人形好きはヴィジュアル系バンドから…ヴィジュアル系バンドミニコミアプレゲールの人形特集が天野可淡四谷シモン吉田良なども紹介しつつ三浦悦子の初期の人形も紹介しているという先見の明ありすぎのラインナップでした(吉田良はなかったかも)。

存在を知ると同時に歴史も知れるというのは、ネットではない、書籍の強みだと思います。

 

ほかにもその前後で創刊された季刊エス(漫画家へのインタビューなどもあるイラスト雑誌)が天野可淡の人形の写真を掲載していたり、04年の東京都現代美術館球体関節人形展~DOLLS of INNOCENCE~」もあったので、ハマった時期に良いもの観られた感。

ただ、りーぬの身請けまでその後十数年の開きがあります。東京都現代美術館の展示の当時はまだ茨城に住んでいたので、頑張って上京して観に行きました。懐かしいなぁ。

 

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これは過去に載せたかな?

シーシャを吸うりーぬです。本文とは特に関係ありません。