衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

数少ない裏切らぬ努力のこと『わたしの外国語学習法』

語学に疎い私だけれども。

わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)

わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)

 

読了。

16ヶ国語を習得したハンガリー人翻訳者によるエッセイ。

コツはあるものの、語学は毎日続けるのが大事というのがある一方で、著者が語学堪能だった訳ではないという事から継続と努力をすればなんとかなる気持ちになる。

覚えておきたいことがあるので、10の教訓、アドバイスを一部引用。

 

Ⅰ外国語は毎日学習すること。もしまったく時間がないというなら最低10分はやること。特に朝学習するのが良い。

Ⅱ学習意欲が余りにも早く減退するような場合は、自分を≪鞭打っ≫たりしないこと、かといって、学習は捨てぬこと。別の事を考えるのです。本をひとまず置いて、ラジオを聴くとか、教科書の練習問題を止めて、辞書をパラパラとめくってみるとか。

Ⅲ何ものも隔離された形で、つまり文脈から引き離して覚えこまないこと。

(略)

Ⅸしゃべるのを恐れぬこと。誤りを犯すことを恐れず、それを直してくれるように頼むこと。そして、実際に誤りを指摘されたら、がっかりしたり、いじけたりしないこと。

 

 …学生時代の私に教えてあげたかった。中学・高校の英語の授業とか憂鬱でしたけどね。

不衛生だった時代がありまして『貧民の帝都』

明日というほどではないけど、我が身を思う。

貧民の帝都 (文春新書)

貧民の帝都 (文春新書)

 

読了。

明治以降の貧民とその対応の歴史について。

東京がこんなに不衛生で死体だらけの時代があり「今のだいたいこのあたり」みたいな説明なので、余計にマジか…という気持ちになる。

地方出身の貧民は故郷に帰されるなどリアル跳んで埼玉だった(埼玉に限らないけど)。

海外の目もあるから汚いものは見せないという事で追いやられた人は養育院に行くのだけど、戦争で焼かれて養育院を復興しようとしたら近隣住民の反対に遭うなど、どこかで聞いたような話が出て来る。

 

本書で貧民を何とかしようとした人物として渋沢栄一が出てくるけれども…貧困も金持ち実業家では解決するのは難しかったし、国に明け渡した話もあるので、国策でなんとかなってほしい気持ちになる。

しかし、ホームレスが寝転がれないように座れない椅子を設置して追い出した話などもあり、公的な部分でも難しいし、関わり合いたくないのもわからなくもない。

さて、今は貧困の末はどうなるんだろ…と無職だから恐怖して終わった。んー、本当にどうしよう…。

 

余談

売春しようとしても売れなくて柳の木の下で野犬に吠えられてうずくまっている娼婦の話があって、売春もしたことがないのに胸に来る。

貧困と売春に関しては貧困を救おうとするのは可愛げがない人とかかわること、という話を読んだことがある。貧困の問題…なんでも人任せにしてはいけない一方、餅は餅屋という言葉もあるので、プロに任せたい気持ちもある。プロ…この道のプロってなんなのだろう?

 

関連

hikimusubi.hatenablog.com

 

死から始まる期待『開かせていただき光栄です』

 楽しみにしていた1冊が楽しいと嬉しいですね。

読了。

18世紀ロンドンを舞台に解剖教室で新たな死体が発見される事から始まる解剖と殺人とある愛の話。ジョン・ハンターがモデルという事もあり、期待して読んだら期待に応えてくれた!

ジョン・ハンターがモデルになったダニエル・バートンよりもその弟子たちが活躍する、猥雑で不衛生なロンドンの描写が良い。

解剖シーンから始まることもあり「まずは殺す、そして適度な間隔で殺す」というロジャー・コーマンのメゾットを思い出しましたが、そのメゾットに一致する形で文章力がある皆川博子が書いてくれればそれは楽しいに決まっているじゃないですか!という気持ちなのですが、皆川博子ロジャー・コーマンはあまり結びつけないですね…。

 

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)

解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯 (河出文庫)

 

この本が参考文献にあるということで信頼が持てる。

 

写真と実物と

中川多理写真展「貴腐なる少年たちの肖像」に行ってきたときに、りーぬことマルスリーヌの写真を購入しました。

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本人と。

やっぱり我が家にいる彼女が大好き。 照明の関係もあるけど、写真の頃とは雰囲気が変わった気がします。

前はもう少し不安げだったのが、今は落ち着いて…というよりぽやぽやぼんやりしたコに育った気がします。

人間より下『家畜小屋』

読みたかった本を国会図書館で読んできました。

家畜小屋 (1959年)

家畜小屋 (1959年)

 

読了。

屠畜人の妻が豚になり豚を娶る「家畜小屋」、

厳格な父が病気をきっかけに人間の尊厳を地に落とす「鶏の脚」、

戦時下の少年たちが性欲のためにマネキンを改造する「女神像」の三編を収録。

表現がしたくて文章を選びました!な感じなので読みにくさはあるのだけど、その内容が人間より下、豚と等しく、犬より下!で、久々に変なの読んでしまった…という気持ちになる。

「家畜小屋」は汚物に塗れたり、豚としたり、「鶏の脚」は不随になった父を殴ったり動けないことをいいことに性器をいじられたりするので、SMとか知らないけど、なんかものすごくSMみたいなことをしている結果になっている。

それにしても読む前は平山夢明を泥臭くしてユーモアを抜いた感じかと思ったのですが、別物でしたね…。

 

古書で値段が高騰しているので読めずじまいでしたが、無事国会図書館で読めてよかったです。

下ネタありの大河ドラマ『兄弟』

無職だからページ数多い上下巻に手を出しちゃう。

兄弟 上 文革篇 (文春文庫)

兄弟 上 文革篇 (文春文庫)

 
兄弟 下 開放経済篇 (文春文庫)

兄弟 下 開放経済篇 (文春文庫)

 

読了。

衆便所で美女の尻を覗き見て御用となった少年時代の思い出から始まる兄弟の話。

弟がスケベでクズで、下ネタを交えつつ明るい調子で話が進んだかと思いきや文化大革命で兄弟の父が死に、兄弟はビービー泣き、町の人も殺されるか狂うかするという急展開が多い暗黒団地ともおでした…。

兄と町一番の美女の話が出て来るのだけど、下ネタから始まり、人が死に…とやった後に恋愛の話が出て来る。ここまでが上巻。

下巻では一度は借金を作り落ちたと思われた弟は大金持ちになって文字通りやりたい放題の末に処女膜美人コンテストを開く…って書いているだけでまったく訳がわからないのだけど、その通りだから仕方がない。

兄の方は大変不憫で組む相手を間違えたばっかりに身体改造までさせられて辺境の地で豊胸クリームを売り、その結果…というこちらも書いていてわけがわからないし、その通りなのだけど、意固地なのは良くないよ…と思うなど。

Twitterで変なあらすじの小説として紹介されていて気になっていたのですが、ページ数は上下合計900ページほど…ページ数でひるんでいましたが、テンポ良い文章で原文も翻訳も頑張ったのかスラスラ楽しく読めました。

人形のための練り切り

遅ればせながらひな祭りのお菓子を開封しました。

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大集合。りーぬの顔にピントが合っているの図。

お雛様用の練り切りです。

 

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ガラスの器には小さな練り切り。

ガラスの器には切子細工がされています。

人形町にある「壽堂」のお菓子なのですが、雛祭りの時期にこの器を持っていくと時間はかかるけれども詰めなおしてくれるとのこと。

去年買ったお重を持って行ったのですが、同居しているパートナーの口に合わないお菓子があったので、今年はガラスの器の練り切りを買いました。