つい語りたくなる本に出会うことができるのは読書の楽しみであると思っている。
青い目の人形と近代日本―渋沢栄一とL.ギューリックの夢の行方
- 作者: 是澤博昭
- 出版社/メーカー: 世織書房
- 発売日: 2010/10
- メディア: 単行本
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読了。
久しぶりに読みごたえがあって、色々思うところがったので、少し長めに参ります。
- 大まかな感想
- 友情人形について
- 日本と人形
- 当時の反応について
- 最後に
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つい語りたくなる本に出会うことができるのは読書の楽しみであると思っている。
青い目の人形と近代日本―渋沢栄一とL.ギューリックの夢の行方
読了。
久しぶりに読みごたえがあって、色々思うところがったので、少し長めに参ります。
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私がヴィジュアル系バンドから球体関節人形に入ったので、バンドと人形のお話。
当然、先にまとめている人がいました。
なので、上記の記事と被る部分も多々ありますが、補完していくような気持ちで書いていきます。
人形に関しては創作人形で作家物という縛りで紹介していきます。
1992年5月に出たこのアルバムのブックレットに天野可淡の人形と吉田良(当時の名前は吉田良一ですね)の人形が登場。友人がここからKATAN DOLLを知ったと云っていました。
今もなお創作人形界隈では大きな存在である天野可淡、そして人形教室「ドールスペースピグマリオン」の主宰で数々の作家を育てた吉田良…どちらの人形も使用されているなんて豪華!
天野可淡×BUCK TICK
このアルバムに収録されている「SABBAT」という曲にKATAN DOLLがおります。
元のアルバムの発売は1990年2月です。
少し悪魔的な雰囲気がする天野可淡の人形ですから、BUCK-TICKのPVにはよく似合いますね。
2007年のツアーパンフに協力しているとのこと。
吉田良のトークイベントに行った際に「取り上げてもらえるのはうれしいこと」ということで、比較的どの媒体にも協力的な様子を感じました。が、似合うところに提供されていると嬉しくなりますね。単に私がBUCK-TICKが 好きなだけですが。
1994年に黒夢のヴィジュアルイメージに堀佳子の人形が採用されたとのこと。
友人から「夢中占夢」では?とのこと。
これがきっかけで人形の世界に入った人もいるようです。
堀佳子の人形は書籍のタイトルにも使われた「生き人形」という表現を使われますが、お顔の表情に心奪われた人も多い様子。
2001年のシングルジャケットに恋月姫の人形を採用。
元々人形っぽい人たちなので、これは合う!
恋月姫はビスクによる球体関節人形が有名。耽美な作風でファンも多いですが、簡単に手出しできない値段設定も憧れに拍車をかけます。その一方、過去にトークイベントに行った際に「出来上がった人形は、どこかに行ってほしいと思う」というなかなかロックな発言をされていた記憶があります。
天野可淡×メリー
Beautiful Freaks(初回生産限定盤A)(DVD付)
清水真理×ムック
画像が出せたのが最近のアルバムですが、清水真理とムックの組み合わせは多いです。
1999年に出したミニアルバム「アンティーク」のジャケットに清水真理の人形を使用。その後2000年のシングル「娼婦/廃」のジャケット、2001年のアルバム「痛絶」のブックレットに人形が登場しています。このアルバムツアーではステージに人形を飾り付けたりもしたそうですが、これは私がどこかで読んだ記憶があるだけで裏付けはできていません。
…ここだけ妙に記載が多いのは、私がムックから球体関節人形に入ったからです。
清水真理はアニメーション作家出身で、チェコの人形アニメーションにも大きく影響を受けているとのこと。作品の仕上がりなども映像の小道具感もありますが、実際に映像作品や舞台用の人形など活動も多岐にわたり多作。
ひとまず、アラサーの私が自分がいわゆるバンギャだった頃のバンドかつわかる範囲のバンドでまとめてみました。
あと、ヴィジュアル系バンドにはネットが発達する前にミニコミという文化があって、その中でも文系寄りの特集をしていたアプレゲールというミニコミがありました。
そのミニコミでムックが特集されたときに人形特集が組まれたことがありました。新進気鋭の作家として清水真理、三浦悦子、小道具屋進一が取り上げられ、人形に関するコラムも多く、天野可淡、四谷シモンについても触れられていたので、大変良いスタートを切れました。
主に作家とバンドの組み合わせで観てきましたが、ヴィジュアル系バンドからすると黒い耽美な世界を構築するアイテムに人形という存在がなじんでいたんじゃないかと思います。
上記のバンドではBUCK-TICKに「DOLL」という曲もありますし、MALICE MIZERの「月下の夜想曲」は道化師の人形を拾って少女の人形とめぐり合わせるという内容の歌詞になっています。上記以外ではPENICILLIN「X・X・X」という曲(本当にX・X・Xって曲名です)では「幻覚に震える人形」なる一説が出てきます。なんのこっちゃ…という感じですが、90年代ヴィジュアル系バンドというのは「耽美ではないお兄ちゃんたちがいろいろ頑張って耽美っぽく仕立てた歌詞」というのが大量にあります。
耽美じゃないからヴィジュアル系バンドは最終的にヴィジュアル系じゃなくなっちゃうのかな~というのはさておき、BUCK-TICK「DOLL」はゴシックをテーマにした『十三階は月光』というアルバムに収録され、もともと耽美な精神をお持ちのMALICE MIZERは上記の紹介の通り恋月姫の人形をジャケットに採用、ムックは約二十年経ってもジャケットに同じ作家の人形の写真…というわけでヴィジュアル系の世界では耽美さや異様さを演出してくれる存在として重宝されているようです。
余談。
三浦悦子さんの人形が出ている映画『バイロケーション』のテーマに黒夢「ゲルニカ」が使用されていて、予告を観たときにグッときました。
追加
恋月姫×D
Twitterで氷雨さん(動く!!!お餅のバンギャスタンプの作者さん)より情報提供。
これは知らなかった!アリスの名前を使って恋月姫の人形を持ってくるという「さすがです…」というセレクト!
横浜美術館で『ヌード』展をみてきました。
目当てはハンス・ベルメールの人形です。創作方面の球体関節人形が好きですからね。
写真作品は何度か目にしたことがあるのと、澁澤龍彦が所有している土井典によるレプリカは見たことがありますが、本物を観る機会には恵まれなかったので、ここぞとばかりに見に行ってきました。
ちなみにベルメールの人形があるのはヌード展のTwitterで知りました。
【ヌード展 作品ミニ紹介】
— ヌード展@横浜美術館 (@nude2018) April 21, 2018
ベルメールの作品《人形》も展示されています。二つの尻にが結合した”球体関節人形”。シュルレアリストによる最も有名なオブジェのひとつです。#そのヌードには秘密がある#ヌード展 pic.twitter.com/nrQUhMYHyX
これがTLに流れてこなかったら、見逃すところだった!
メインヴィジュアルはロダンの「接吻」で、これは撮影OKでした。
…撮ってもいいよ!ということで撮りました。
この接吻がある部屋はエロティック・ヌードの部屋ということで、性的な感じの作品があったので、ここにベルメールの人形が…と思ったらない!
ない!会期中に展示替えでもあったのか!ない!と焦っていましたが、ベルメールはシュールレアリズムのコーナーにいました。
エロではないのか。それ以前になんでエロのところにいると思ったんだろ…。
とはいえ、会場にいる間に何度もベルメールのところに戻って目に焼き付けようとしていました。
ベルメールの人形はグッズにはなっていなかったのでグッズ関係はスルー。でも、カリソンというお菓子が売っていたので、これは買いました。笑わないお姫様を笑顔にするために作らせたというお話とともに語られる由緒正しきお菓子のようです。
接吻がメインビジュアルだったから、カップルでちょっと幸せってセレクトなのかしら?ちなみに同居している恋人へのお土産もかねて買ったので、意図はばっちり汲んだと思いたいです。
この号が出たときの展示で私は人形の世界に舞い戻ったので、ベルメールというワードがより強くなりました。
思っていることは言葉に出るから、注意しているけど、屈辱的だったことに対して下品な発言をしてしまったのはきっとこの本を読んでいたから。
読了。 この人は色々書けるんだなぁ…と思うも、表題作に対して、やっぱり下品で不衛生な話の方が得意ですよね!と思うなど。表題作は快楽殺人鬼二人組が証拠隠滅のために現場に戻った結果の災難の話で、ミサイルマンにあこがれる男が明るくて頭がおかしいし、二人のやり取りが面白い。
話としては底辺恋愛小説「それでもおまえは俺のハニー」、コレクター気質の殺人鬼「枷」が好きかな。
「枷」でコレクターは病気で集めたいものは何でも欲しいだと金持ちでも潰れるから自信の欲求を鎮める防衛術として枷を作るが、枷に合致したものはどうしても欲しくなるという副作用を持つ…という話を主人公が聞かされる場面があるのだけど、まったくだ…と思いましたよね。 コレクターではないものの、うちの人形を身請けするにあたって数々の条件を自分に課したので。 枷がないように無節操に見えるコレクションをしている人は何かが信用できない気がするのだけど、私には知りようもない枷があるんでしょうね、と思ってみるなどしてみます。変態にもわかりやすいのとわかりにくいのがいるでしょうしね。
生活系の本を読むのも好きですが、いささか綺麗すぎて疲れるので、好きな作家の本を手に取る。
「キモさ」の解剖室 (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)
読了。
キモいという事について分類、分析していますが、文学作品、実際の事件、子供のころの記憶などキモいに出てくるエピソードが相変わらず縦横無尽。
いつものエッセイ風かつ中学生向けなので文章がいつもより優しさがある感じ。
いい年して思わずキモいんだよ!と云い放ってしまい後悔、子供の頃にしてしまったいじめのエピソードの告白、父の同僚の奥さんが受けた哀しい仕打ちなど自身のことや周囲の話もありますが、精神科医をやっている理由を「好奇心」「患者さんは自分がなっていたかもしれない姿」と最初に語るのに、中学生のうちにこういう話を聞けるのはいいな…とちょっぴり羨ましくなってしまいました。
好きな作家の本を読むのはまた癒し。
読了。
文学や著者が診てきた患者、自身の記憶などから語る子供という存在や概念について。
リンドバーグやサンテグジュペリのクズいエピソードもあり、子供の心を持った大人というよりも子供のまま年齢が大人になってしまったエピソード紹介の後の言葉が「子供のまま大人になった人たちは醜い。それは不自然であり、見苦しい」というもの。
この言葉に後の著作の老人や歳を取りそこねる人に続く話を勝手に感じるなどした。
そして、この言葉に過去に友人と「少女性に縋り付いている妙齢の女性は美人であっても違和感がある」という話をしたことを思い出した。そして自分にその違和感が出ていないかを私は気にしている。
話はそれたが、この本には著者のパートナーの少女期の思い出話が出てくる。少女期に虫取りをしていてモンシロチョウを捕って虫かごにいれて、次にトンボを捕って虫かごに入れたらモンシロチョウが食べられてしまったという話で、虫かごを持った幼き日のパートナーの描写が微笑ましかった。
読了。
サイコパスについて語り倒す対談本。これは絶対に面白いと思ったらやっぱり面白かった。話に出て来る事件も近年の「あったあったこんな事件」と思うものが多い。
平山夢明が「ロシアで素晴らしい事件がありましたねぇ…」で食人夫婦の話が出してきて、覚えている…ってなるなどしました。
歳を取りそこねる人、精神鑑定で怖い思いをした話など盛りだくさん。
そして、この本の入稿時に起こった某事件について春日武彦があれこれ語ることはせずコメントは「とんでもない奴ですね」にとどめると同時に「精神科医の見解を期待するような純朴な人はサイコパスの餌食になりやすいから気を付けてください」と書いていましたが、期待していない側の人だけど気を付けようとなりました。ちなみに平山夢明は「雑なネクロマニアかも」といい「鬱になったらいのちの電話にかけろ」と、お二人とも大変常識人でした。
そして相変わらず職場の嫌いな後輩にやられてヘロヘロなので、この本のサイコパスとの付き合い方の章の「話せば通ずるという幻想は捨てるしかない」を採用することにします。人間関係も楽になるかもしれない、そんな本です。たぶん。