衛生ゴアグラインド

本、人形、素体

接吻以上に観たいものがあった:横浜美術館『ヌード』展

横浜美術館で『ヌード』展をみてきました。

目当てはハンス・ベルメールの人形です。創作方面の球体関節人形が好きですからね。

写真作品は何度か目にしたことがあるのと、澁澤龍彦が所有している土井典によるレプリカは見たことがありますが、本物を観る機会には恵まれなかったので、ここぞとばかりに見に行ってきました。

ちなみにベルメールの人形があるのはヌード展のTwitterで知りました。

 これがTLに流れてこなかったら、見逃すところだった!

 

メインヴィジュアルはロダンの「接吻」で、これは撮影OKでした。

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…撮ってもいいよ!ということで撮りました。

この接吻がある部屋はエロティック・ヌードの部屋ということで、性的な感じの作品があったので、ここにベルメールの人形が…と思ったらない!

ない!会期中に展示替えでもあったのか!ない!と焦っていましたが、ベルメールシュールレアリズムのコーナーにいました。

エロではないのか。それ以前になんでエロのところにいると思ったんだろ…。

とはいえ、会場にいる間に何度もベルメールのところに戻って目に焼き付けようとしていました。

 

ベルメールの人形はグッズにはなっていなかったのでグッズ関係はスルー。でも、カリソンというお菓子が売っていたので、これは買いました。笑わないお姫様を笑顔にするために作らせたというお話とともに語られる由緒正しきお菓子のようです。

接吻がメインビジュアルだったから、カップルでちょっと幸せってセレクトなのかしら?ちなみに同居している恋人へのお土産もかねて買ったので、意図はばっちり汲んだと思いたいです。

 

 

夜想 特集『ハンス・ベルメール』

夜想 特集『ハンス・ベルメール』

 

 この号が出たときの展示で私は人形の世界に舞い戻ったので、ベルメールというワードがより強くなりました。

ある快楽殺人『ミサイルマン』

思っていることは言葉に出るから、注意しているけど、屈辱的だったことに対して下品な発言をしてしまったのはきっとこの本を読んでいたから。

ミサイルマン (光文社文庫)

ミサイルマン (光文社文庫)

 

 読了。 この人は色々書けるんだなぁ…と思うも、表題作に対して、やっぱり下品で不衛生な話の方が得意ですよね!と思うなど。表題作は快楽殺人鬼二人組が証拠隠滅のために現場に戻った結果の災難の話で、ミサイルマンにあこがれる男が明るくて頭がおかしいし、二人のやり取りが面白い。

話としては底辺恋愛小説「それでもおまえは俺のハニー」、コレクター気質の殺人鬼「枷」が好きかな。

「枷」でコレクターは病気で集めたいものは何でも欲しいだと金持ちでも潰れるから自信の欲求を鎮める防衛術として枷を作るが、枷に合致したものはどうしても欲しくなるという副作用を持つ…という話を主人公が聞かされる場面があるのだけど、まったくだ…と思いましたよね。 コレクターではないものの、うちの人形を身請けするにあたって数々の条件を自分に課したので。 枷がないように無節操に見えるコレクションをしている人は何かが信用できない気がするのだけど、私には知りようもない枷があるんでしょうね、と思ってみるなどしてみます。変態にもわかりやすいのとわかりにくいのがいるでしょうしね。

キモいということについて考えてみた『「キモさ」の解剖室』

生活系の本を読むのも好きですが、いささか綺麗すぎて疲れるので、好きな作家の本を手に取る。 

「キモさ」の解剖室 (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)

「キモさ」の解剖室 (よりみちパン! セ) (よりみちパン!セ)

 

読了。

キモいという事について分類、分析していますが、文学作品、実際の事件、子供のころの記憶などキモいに出てくるエピソードが相変わらず縦横無尽。

いつものエッセイ風かつ中学生向けなので文章がいつもより優しさがある感じ。

いい年して思わずキモいんだよ!と云い放ってしまい後悔、子供の頃にしてしまったいじめのエピソードの告白、父の同僚の奥さんが受けた哀しい仕打ちなど自身のことや周囲の話もありますが、精神科医をやっている理由を「好奇心」「患者さんは自分がなっていたかもしれない姿」と最初に語るのに、中学生のうちにこういう話を聞けるのはいいな…とちょっぴり羨ましくなってしまいました。

子供でいたいなどと思わぬほうがいいが大人も良いとはいいがたい『残酷な子供 グロテスクな大人』

好きな作家の本を読むのはまた癒し。

残酷な子供 グロテスクな大人

残酷な子供 グロテスクな大人

 

 読了。

文学や著者が診てきた患者、自身の記憶などから語る子供という存在や概念について。

リンドバーグサンテグジュペリのクズいエピソードもあり、子供の心を持った大人というよりも子供のまま年齢が大人になってしまったエピソード紹介の後の言葉が「子供のまま大人になった人たちは醜い。それは不自然であり、見苦しい」というもの。

この言葉に後の著作の老人や歳を取りそこねる人に続く話を勝手に感じるなどした。

 

そして、この言葉に過去に友人と「少女性に縋り付いている妙齢の女性は美人であっても違和感がある」という話をしたことを思い出した。そして自分にその違和感が出ていないかを私は気にしている。

 

話はそれたが、この本には著者のパートナーの少女期の思い出話が出てくる。少女期に虫取りをしていてモンシロチョウを捕って虫かごにいれて、次にトンボを捕って虫かごに入れたらモンシロチョウが食べられてしまったという話で、虫かごを持った幼き日のパートナーの描写が微笑ましかった。

キ印の話をしようぜ!『サイコパス解剖学』

 

サイコパス解剖学

サイコパス解剖学

 

読了。

 サイコパスについて語り倒す対談本。これは絶対に面白いと思ったらやっぱり面白かった。話に出て来る事件も近年の「あったあったこんな事件」と思うものが多い。

平山夢明が「ロシアで素晴らしい事件がありましたねぇ…」で食人夫婦の話が出してきて、覚えている…ってなるなどしました。

歳を取りそこねる人、精神鑑定で怖い思いをした話など盛りだくさん。

そして、この本の入稿時に起こった某事件について春日武彦があれこれ語ることはせずコメントは「とんでもない奴ですね」にとどめると同時に「精神科医の見解を期待するような純朴な人はサイコパスの餌食になりやすいから気を付けてください」と書いていましたが、期待していない側の人だけど気を付けようとなりました。ちなみに平山夢明は「雑なネクロマニアかも」といい「鬱になったらいのちの電話にかけろ」と、お二人とも大変常識人でした。

 

そして相変わらず職場の嫌いな後輩にやられてヘロヘロなので、この本のサイコパスとの付き合い方の章の「話せば通ずるという幻想は捨てるしかない」を採用することにします。人間関係も楽になるかもしれない、そんな本です。たぶん。

巻き込まれたくはない『問題は、躁なんです』

 

問題は、躁なんです   正常と異常のあいだ (光文社新書)

問題は、躁なんです 正常と異常のあいだ (光文社新書)

 

 

躁についての新書ですが、いつもの著者だった。

躁と犯罪の部分で「あった、あったこんな事件」というのが2件あった。粘土などを爆弾に見立てての1人ハイジャック犯と自分でジャンボジェット機を操縦したかったハイジャック犯は確かにあったよなぁ…と思い出すなど。

 

躁についていろんな人物が出てきますが、こんな人いたら厭だなというものが多くて、読み物としては面白いですが、ちょっと疲れました。

里帰りーぬ

中川多理さんの展示が始まったので、りーぬを連れて行きました。

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ほーら、しばらく住んでいた浅草橋のパラボリカだよ。

会場内では、中川多理さんのご厚意で小さいマルスリーヌとの写真を撮ることもできました(掲載許可はとっていないので、こちらでは未掲載です…中川多理さんのインスタグラムにあります)。

 

元々目立たないコだったのですが、私のもとに来て、オーナーさんたちに「可愛い!」と云われまくったので、「りーぬ、よかったねー」となるなど。

 

中川多理さんの展示は5/28までです。